o○☆●o。..書評..。o○☆●o。

             
くじけないで
  • 「たけしの死ぬための生き方」

  • 本書は1993年8月にバイク事故で死と向き合い、
  • 葛藤、苦悩した男の体験談であり、中年世代に
  • 対しての忠告の書でもある。
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    「深夜にひとりきりで病室にいると、ごく自然に"死"とは何かという考えに行き着いてしまうんだよ(中略)

  • みんな"こたえたなあ"って言ってた。団塊の世代の連中がそんなこと考えてる、"どうするかな、これから"なんてさ。年に一回は旅行会でもするかとか言う。結局その程度の話にしかならないんだよね。

  • いまある、一般の人がレジャーだと称するものに行ってしまうんだ。おいらは精神的な迎え方って、それじゃないと思うんだけどね。

  • かといって目の前にちゃんとした宗教があるかって言うとそうじゃない。そうすると人生とか死について、これから自分の頭の中で考えなきゃいけないわけだよ。」

  • 「おいらが病床で考えていたことというのは、本当に(生と死)の問題だけだったといっても言いすぎじゃないんだよ。」
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    そして彼は死ぬための心の準備をすることについて語り、死生観を持たずに50歳近くになっている同世代、団塊の世代に「まだ人生の前半戦だという意識をしていたんじゃないかな。実はもう時間が無い、今までの半分も生きられないはずなのにね」と訴える 。

  • 会話調の文体ながら非常に深い洞察、己を深く掘り下げていく思索に嵐山光三郎が著書「死ぬための教養」で天才たけしと賞賛していたことにうなづいた。

  • 死生観とはと問われたときには、是非一読を薦めたいのが本書である。
くじけないで

「いまも君を想う」川本三郎

  • 川本三郎 (新潮社)

  • 近年、最愛の伴侶に先立たれた男性側からの哀悼記の出版が増えている。
    最愛の人との死別というと夫婦であれば年齢差から女性がほとんど。

  • 4人に1人がガンで死ぬ時代となると、男が残されるケースが増えてもおかしくないのだ。


  • 古くは妻で女優の夏目雅子との永遠の別れを体験した伊集院静、写真集

    「センチメンタルな旅 冬」で妻への哀悼集を上梓した写真家アラーキー、

    作家の城山三郎、医師でありガンの専門医で自ら治療を行いつつもガンで妻を亡くした国立がんセンター・名誉総長の垣添忠生、宮中の歌会始の選者を務め、
    天才歌人と称された河野裕子を失った細胞生物学者の永田和宏等々、どれも慟哭・・・


  • 愛する対象を喪失した哀しみと向かいつつも、いずれも筆を執るには時間が掛かっている。悲嘆を書くことがそれぞれにとっての悲しみからの立ち直りのプロセスなのである。


  • 本書は感情を抑圧した静謐な文章で、自分を客観視した視点、それゆえの著者の悲観の深さが伝わってくる

    。妻を亡くしたことから日常生活に戻ろうと
    料理を始める日々、自分なりの新しい生活で立て直そうとする葛藤。
    その日々の営みの中に妻との思い出が込み上がって来る。そのことを書く。一気には読むことができない。


  • 愛する対象を喪失することからの立ち直りをグリーフ・ケアという。高齢社会の進展は、共に愛するものを失う機会が増えることであり、その悲しみの長い道、いつまで続くのか想定できない体験をしなければ
    ならないことなのである。

    今は何も考えずにいる夫婦、いずれはどちらかが体験すること。

    グリーフ・ケアついては下記のサイトを参考にしてください。
  • グリーフ・ケアのサイト
くじけないで

「友がみな我よりえらく見える日は 」

  • 上原 隆 (幻冬舎アウトロー文庫)

  • 人の生き方は思うようにならないものです。
    大きくはみ出したり運命にもてあそばれことが少ない平凡な個性が感じられない、ほとんどの人々は無難、平穏無事の一生を送るのが大半であろう。

     この本では、ホームレス同然の生活を送る芥川賞作家、5階から転落して失明しつつも一命を取り留めた市役所職員等の
    の人生の大転換をインタビューした人々が素直に語る文章である。自らの人生を語りなおしているのかもしれない。

    筆者の他者を受け入れる精神性とほどよい文体、筆力が生んだ佳作です。
くじけないで

「コスモスの影にはいつも誰かが隠れている」

  • 藤原新也(河出書房新社)

  • 短編集である。
    東京の営団地下鉄を利用している人たちは読んだことがあるかもしれない。
    営団地下鉄のフリーペーパー「メトロミニッツ」に収められた中から13編と書き下ろし1編、計14編からなる。

  • これらの短編で描かれてるのは、作者が人生の中で関わりのあった人たちが体験した悲哀、苦悩をもとに創作された作品である。

  • これらの作品には、市井の人たちの出会いと別れ、哀感が流れている。
    誰しもが自分の物語を持っている。語る相手がなく、日常に埋没している。

  • あるとき、ふと藤原新也のような作家と出会い語ることができた。それは心の澱のようなものかもしれない。しかし、語れたことでその人の人生のひとコマがスケッチされ、心が軽くなったのでは。

    「人間の一生はたくさんの哀しみや苦しみに彩られながらも、その哀しみや苦しみや彩によってさえ人間は救われ癒されているのだという、私の生きることへの想いや信念がおのずと滲み出ているように思う。

    哀しみもまた豊かさなのである。なぜならそこにはみずからの心を犠牲にした他者への限りない想いが存在するからだ」(作者 あとがき)

    本編中の「カハタレバナ」は秀作である。墓参りを通じて別れた妻との離別を、その後の消息を知る。毎年お墓に供えられた花があるときから、途切れる。そして・・・

    胸が熱くなり、目頭に滲むものがある。
くじけないで

「運命を拓く 天風瞑想録」

  • 中村天風著 

  • 安岡正篤と共に日本が生んだ哲人、中村天風哲学の入門書。
    「運命には、天命と宿命がある。どうにも仕様のない運命を天命といい、
    人間の力で打ち開くことのできるものを宿命というのである」

  • 天風先生の言葉は、壮絶な生き様から悟りを得たものであり、
    「消極的な生き方」を選択している現代人への雷である。

  • 箴言としてまとめられた著作はあるが、それだけで理解できるような
    レベルではない。
    本書は、天風先生の講演録をまとめたものであり、熟読することで
    難解な宗教書をはるかに超越した真理に触れることができる。

  • 「理解することと、悟ることは違う」
    是非、一読をお薦めする。
くじけないで

「悼む人」

  • 天童荒太著 

  • 「人間にとって一番大切なことは、誰に愛されたのか、誰を愛したのか、
    何かをして感謝されたのか、それを誰かに覚えていて欲しいというのでは
    ないだろうか?
    人の死に少し思いをはせることで、命の重さのバランスが変ろう」本文より。
  • 2008年、直木賞受賞作。戦後からの経済成長で生きること、生産・建設的な
    意義ばかり問われ、「死」の持つ意味が失われた。
    バブル崩壊、神戸大震災、オウム事件、リーマンショック、東日本大震災、
    その底流には14年間連続で年間3万人が自殺している。
  • 著者は、9.11をきっかけに死を数で捉えることへの疑問を抱いた。
    「どう生きられようと、その理由より、
    人に何を残すかにあなたの存在はある」
  • 長く余韻が残る小説である。
くじけないで

「いねむり先生」

  • 伊集院 静著 出版:集英社

  • ある日、紹介された「いねむり先生」との交友が始まる。 先生は、ナルコレプシーという持病を持つ、色川武大、 麻雀小説は、阿佐田徹也で執筆する小説家・・・

  • 2人は関東、四国、東北にギャンブルの旅に・・・ 一緒に旅をして、街を歩き、飲み屋、地元の宿などで お互いの隠れた生存を左右している根を知る。

  • 先生を気遣う主人公、それに応えようとする先生の思い遣り・・・ 「人は事故や病気で亡くなるではありません。 人が亡くなるのは寿命なのです」

  • 先生が何気なく、呟く言葉に主人公は少しづつ癒されていく。

  • アル中の後遺症である幻覚にも悩まされるが、 先生が黙ってやり過ごすのです。 それしかありませんと、手を取る。

  • 主人公は、生きようともがくことなく、漂っている枯れ木だ。 だから、皆が手を貸しくれるようにも、思えてくる。

  • 「「途方に暮れる」という言葉があるが、どういう精神状態か わからなかった。 ある夜、自分で自分を含めた世界が訳が分からなくしまった。 生きること、死ぬことがどうでもよくなってしまった」  (「白い壁」伊集院静)

  • 白血病が発見され、209日に渡る入院に付き添う介護。 そして病院の裏口から搬出された遺体。

  • 妻であり、女優でもあった夏目雅子との結婚生活が わずか2年の死別で終わる。

  • 途方に暮れてアル中に・・・

  • 何とか周囲に支えられて、入院。 半年以上の治療を経て退院したものの、 借金を繰り返して、競輪の開催を追い駆ける生活。

  • はぐれ者同士の出会い、どしようもない血を受け継いでいる者だから 分かり合える。互いに潜在意識で求めていたのかもしれない。 求めていたから出会えた。

  • そして、哀しみには必ず終わりが来る。 いや、哀しみが薄らいでいき、思い出すことが少なくなるのだ。 ただ、途方に暮れた心情、心境からは抜け出せる。

  • 読了感に安堵、救済を覚えるのは・・・
くじけないで

「必生(ひっせい)」

  • 佐々井秀嶺

  • 書評などで紹介され、読んだ人も多いと思う。
  • 佐々井師は、現在インドで仏教復興運動の先頭に立ち、
    暗殺されそうになるほどの影響力を持つ僧侶である。
  • 彼が仏教との出会うまでの苦悩、二度の自殺未遂、
    そして僧侶となって三度目の自殺未遂の結果、辿りつき
    インドに渡ってカースト制度の底辺で虐げられた人生を
    送らなければならない人々の救済のために行った活動。
  • 簡単に自殺未遂と書いたが、三度とも偶然人や天からの
    声によって助けられている。
  • 山で自殺を試み、死にきれずに下山し、行き倒れた所が
    寺の山門。そこで世話になることで仏縁を得る。
  • ヒンズー教が大半のインドで、一説には1億5,000万人に
    まで仏教を浸透させている「闘う仏教」のリーダーである。
くじけないで

「奇跡のリンゴ」

  • 木村 秋則 (著), 石川 拓治 (著) 

  • 「奇跡のリンゴ」は自然農法・無農薬で絶対不可能といわれた リンゴ栽培を成し遂げた木村秋則氏の生き様。

  • 9年間収穫なし、生活困窮に陥り、上京して公園で野宿、 神田でダンボール拾い、日雇い、故郷戻ってはキャバレーの 呼び込み、ヤクザに殴られ歯がなくなり、リンゴの木にまで 税金滞納の赤紙を張られる。

  • 様々な試行錯誤の結果も思わしくなく、失意、落胆、絶望に 追い込まれ、山で人知れず縊死する決心で死に場所を求め、 木にロープを投げたがロープが斜面に落ちた。
    それを拾いに下りた所で目にした椎の木に発想の転換が・・・

  • また、この本は、農業という仕事が自然体系を破壊しつつある ことを警告しているのだ。
  • 優れた本は、人生、社会問題、未踏の生き方、自然観、宗教観 など様々な視点で語りかけてくる。

  • 私が感動したのは、人の歩まない道に進んだための苦悩、そして自殺を決意するまでの苦悩、いずれも 偶然未遂に終わり、そこから新たな人生を歩き始め、無農薬栽培のリンゴ生産に成功。
くじけないで

「くじけないで」

  • 柴田トヨ/飛鳥新社
  • 「私ね 人からやさしさを貰ったら 心に貯金しておくの さびしくなった時は それを引き出して 元気になる あなたも今から 積んでおきなさい 年金より いいわよ」
  • 92歳から詩作をはじめ、今年白寿を迎える。
  • 自費出版が今や150万部というベストセラー。
  • 人は、いつ才能を発揮するのかわからない。
  • 中高年の人たち、まだ眠っている能力を掘り起こそう!
死ぬまでやっておきなさい

「死ぬまでやっておきなさい」

  • 朝日俊彦 /主婦と生活社
  • 終末医療に関わった医学博士が
    多くの人を看取り、そこから感じ学んだ人生
  • 大切なものをたった一つだけ選ぶ。
  • 著者の選択方法には、シニアにとっての 大
  • 切な教訓がある。
「星のように眠る」「風のように生きる」

「風のように生きる」
「星のように眠る」

  • 佐藤伝著 辰巳出版
  • ほんの少し行動を変えるだけで、人生や運命が変わる。見えなかった自分が見えてくる。ルーティーンに陥りがちな日々を、気持ちの持ち方で自ら変えてゆこう。 そんな示唆を与えてくれるツインの著作。
  • 「風」は仕事編・「星」は恋愛編ということで、2冊を読み通して実践できれば、或いは……?理想の朝をイメージして描き出す、ということは、最終的には人生のイメージを自分で設計するということか。
「親の家を片づけながら」

「親の家を片づけながら」

  • リディア・フレム著 ヴィレッジブックス
  • フロイト研究者である著者が、両親の死後、残された家を片付けるという現実の中で湧き起こる表現しがたい感情に戸惑う。
  • 自らの原点でありながら、「親とは、自分にとってなんだったのだろう」という問いかけとともに、実は何も知らなかったのだという事実に打ちのめされたりする。親を失うことはこの世の中で、足元が崩れるほどの喪失感ではないかしかし、その苦痛や混乱は、言葉に代えることで整理され、少しずつ癒されてゆく。
  • 遺品を整理することで、親と子は最後の対話をする。やがて来る日、すでに迎えてしまった日、それぞれの想いを重ね、癒されてゆく一冊である。
「リタイア・モラトリアム」

「リタイア・モラトリアム」

  • 村田裕之著 日本経済新聞社
  • 定年後、再雇用制度などで職場にとどまり、働く60代を中心とした人々。実際に「退職」するまでの数年間は、人生を模索する青年期と酷似するという。本来のモラトリアム(執行猶予・心理学では青年から大人への移行期)と同じく、第二の人生に対峙してゆくため、自分探しの時を送る。時間の余裕が増え、趣味・投資・自己表現などを経て、社会的な個人的使命を見出すことによって社会とのかかわりを無理のない形で構築できると予見している。
「がんばらない」の著書作。「幸せさがし」

「がんばらない」の著書作。
「幸せさがし」

  • 鎌田實著 朝日新聞社
  • さまざまな人々との出会いを紹介しながら、幸せのさがしかたを提案。
  • 勝ち負けや幸せに対する考え方、生きることへの心の持ち方を語る。日常の生活の中でさがす、「本当の幸せ」へのステップに。
「暮らしの哲学」

「暮らしの哲学」

  • 池田晶子著 毎日新聞社
  • 46歳で急逝した著者ライフワークと
    した「生きていること」への追求。

  • 生きること=考えることともとれる著者の生き方
    はまさに人生が哲学していた、ともいえる。

  • 社会的な価値ではなく、自己の価値観で人生の
    意味をとらえ、余分な一切を排除したすがすが
    しい姿こそ、彼女の軌跡なのだ。
「生涯青春」

「生涯青春」

  • 加藤日出男著 清流出版
  • 本年54周年を迎えた集団就職経験者の会
    「若い根っこの会」及びリタイア後の中高年が
    中心となり交流する「生涯青春クラブ」会長作。
  • モノやカネに左右されない真実の幸せを謳い、
    心豊かな人生とするための力強いアドバイスの書
「「森の思想」が人類を救う」

「「森の思想」が人類を救う」

  • 梅原 猛 小学館
  • 日本人でありながら、日本のことをわかっていな
    かったことを、この本は教えてくれます。
    縄文から続く長い歴史に育まれた日本文化の
    根底を流れる「森の思想」は、自然環境との
    共生において、日本の仏教と神道とに共通する
    「霊」、「気」についてわかりやすく書かれています。
    「木というものは昔から霊の宿るところで、木は神でもあった。木彫仏をつくることは、仏師が仏を彫るのではなくて、木のなかから自然に仏が
    あらわれる」
    この思想によって仏教が広まった。森の宗教であった神道と仏教の基層を成すのは、森であり、自然崇拝であることを理解できます。
「勝っても負けても―41歳からの哲学」

「勝っても負けても―41歳からの哲学」

  • 池田晶子 新潮社
  •  人生とは何か。いくつになっても考えます。
    この本では、大切なのは、結婚?お金?名声?
    出世?生きる意味を問い直す、大人のための
    考えるヒントがあります。
    お金だけがと思っていても、他人と比べてしまったり、表面だけしかわからないのに、あの人は幸せそう、などと目が外に向いていませんか?
    「勝っても負けても」というタイトルに示されているように人生は、その人の考え方ひとつで変わるものであり、どのように考えるかが、大切なのでは。
「日本人のしきたり」

「日本人のしきたり」 

  • 飯倉晴武 青春出版社
  • 日本に生まれて、四季を味わい暮らしていく。
    その中で日本文化である二十四節季、伝統行事、風習について忘れかけていることや、理解していなかったことをこの本で改めて学ばされた。
    わが国の古くは自然万物に神が宿る思想から始まり、風土と歴史が生み出した人々の願いや、中国からの伝来、仏教の教えに基づく行事など、それぞれが生活に根付いた理由がある。
    これらの豊かな文化は、私たちの生活を彩っていることを味わうゆとりを
    考えされられた。
「病をよせつけない心と身体をつくる 直観医療からのメッセージ」

「病をよせつけない心と身体をつくる
直観医療からのメッセージ」

  • クリステル・ナニ 著  菅靖彦 訳
  • 「病は気から」と言われるが、アメリカには直観医療者が数万人いるなかで、著者は秀でた存在である。 波動が低い、つまりエネルギーが低いことと思考や感情との関係性を持っていることを本書では説いている。
    著者の経験に基づいた言葉には説得力があり、どんな思考や感情が病を引き起こすのかを、具体的な事例を挙げている。波動を高め、病を防ぐことで人生を変えるきっかけになるのでは。
「医療改革 危機から希望へ」
  • 「医療改革 危機から希望へ」

  • 二木 立 著
  • 少子高齢化の時代、小児科医・産科の医師が足りず、救急患者がたらい回しになる時代。
    医療制度改革は常に国会の論点となり、その一方で医療事故は後をたたない。
    長期入院の制度改革や老齢者の増加で自宅介護を余儀なくされる人も多い。
    うっかり病気にもなれない、という言葉が笑い話では済まされなくなってきたと薄ら寒い気持ちになる。しかし、そんな世の中にも希望はあるのだ、ということをこの本の作者は伝えてくれる。
    医師・医療政策学者という筆者の説では、糖尿病などを中心とした生活習慣病対策は医療費抑制にならないらしい。
    十分にデータを解析した説得力ある筆致で「絶望しすぎず、希望を持ち過ぎず」の心持ちを説く。
「メタボリックの罠 『病人』にされる健康な人々」

「メタボリックの罠 『病人』にされる
健康な人々」

大櫛 陽一 著
  •  流行語ともなった「メタボな人々」には希望の著と なるかもしれない。
    単純に腹回りの数値で人を病人扱いするな、
    という説には同感。
    ある程度の基準は必要かもしれないが、官とマスコミが必要以上にあおってこの言葉を無理やり認知させた風潮には反論がおきて当然と感じる。一方ではやせすぎのモデルが職を失うというニュースもあったが、それもより痩身であることが美しいとしてきたコマーシャリズムの責任ではないのか。
    いずれにしても、いかに政府の提唱であっても、情報をうのみにして振り回されることの愚かしさに気づくべき時。
    情報が溢れかえっている社会だからこそ、取捨選択の知力が必要なのだろう。
「ボケない技術(テク)『もの忘れ外来』の現場から」

「ボケない技術(テク)『もの忘れ外来』
の現場から」

  • 奥村 歩 著
  • どきっとするタイトル。
  • 「もの忘れ」については誰しも、まずい!と感じる
    時があるはず。
    ここでは社会問題となっている「認知症」にも生活習慣病の側面がある、という視点で語られている。

  • 「ボケないテク」とはなんとも魅力的な言葉ではないだろうか。習得できるものであれば是非実践したい。