◇◆◇ コラム・アーカイブ ◇◆◇

  • ●時代が求める幸福論

  • 「幸福のパラドックス」を知っていますか?
    これは経済学で、幸福の予測ミスがあることを示す用語です。

  • どのようなことかといいますと、マイホームを
    購入するときに、2時間の長距離通勤と家族の団欒と
    いう条件があったとします。

  • そのときに、長距離通勤は慣れる。それよりも家族の
    団欒で得られる幸福感の方が大切であると判断して
    住宅購入に踏み切ったとします。

  • ところが、実際には想定していたよりもマイホームを
    得た満足感には、すぐに慣れてしまった。
    家族皆が団欒を楽しむことができなく、結果的に予測
    していたような幸福感を得られなかったケースです。

  • 同様なことは、「ミス・ウオンティング」という心理学
    用語にもあります。「欲求のミス」のことで、昔から
    よくあります。

  • 自分が何を本当にはわかっていないで行動するケースです。
    例えば、親の期待に応えようとか、周囲が持っている
    モノだからと所有したがったりする。

  • 若い時には、皆何らか、このような経験をしているのでは
    ないでしょうか?

  • そして、なんでこんなモノを買ってしまったのか、
    行動してしまったのかと反省したのでは・・・

  • しかし、その反省、後悔も欲求にだけ基づいたものであったら
    同じことを繰り返していることと思います。二日酔いの反省です。

  • 基本には、刹那の幸福になりたいという欲求だけですので・・・
    本質的な幸福まで考えているわけでありません。

  • 幸福は非常に個人的な要素が強く、特にモノの所有で幸福を
    得ようという価値観は、継続しないものなのです。

  • 経済成長、特にバブルを経験した世代には、モノの所有が
    幸福につながると勘違いしている人が多いのです。
  • 経済が右肩上がりに成長することを信じ、何も考えずに
    生きてきてしまった。

    そして、バブルが崩壊し、空白の20年を過ごし、どうしたら
    よいのか、幸福を追いかけても逃げていく経験の積み重ね・・・
  • 中年の皆さん、モノの所有では幸福にはなれません。
    幸福は追えば追うほど手に入れません。

  • 自分が幸福になりたければ、他人を幸せにしましょう。
    そのことを考える。

  • 今月から「幸福論」についてコラムを連載します。

  • ●身近にある幸福

  • 幸福を感じるかどうかは価値観なのです。
    そのためには、死生観、自然観をしっかりともち、モノや金に
  • 囚われ た価値観から、心の充足、満足感が大切であるといった
  • 価値観へ転換することが大切なのです。

  • それには、自分の現状を再認識しなければいけません。
    まずは欲望の蓋が開かれたままであるということ・・・

  • それは難しい相談だ! 
    欲望が生きがいになっているから、生きる目的がなくなってしまう。
  • いや、大丈夫です。
    あなたが、死とはなんだろう、死ぬ前には苦しむのか?
    皆はどのようにして死の恐怖を考え、折り合い、
  • 乗り越えることができたのか、それともできなかったのか・・・

  • あなたなりの結論を出すための試行錯誤をされていれば、
  • 物欲は鎮まってゆきます。
    所有したモノの価値も下がってゆきます。

  • なんでこんなものを、欲しくて手に入れたら愛着が
    なくなったりしていたり、多くの交友関係、ネットワークも
    お金だけのつながりでしかなかったり、会っても楽しくはなく
    単なる世間体のためにだけの関係でしかなかった。

  • これまで、前半戦の価値観だけで生きてきたのです。

  • 成熟した人たちからみれば、大人ではなく、未熟な
    歳だけ取った若者にしか見えないでしょう。

  • 本当の幸せがどのような素晴らしさであるのか、
    そのことを知らずに些細なことにこだわり、悩み、
    無駄な時間を費やしている。

  • そして、「死」が迫ったときに、どれほどの恐怖を
    抱いて、苦悩するのか?

  • ●知足安分
  • 私たちが生きていく上で本当に必要なモノ、必要なことは
    どれだけなのでしょうか?

  • 今、ここに生かされていることに気付き、家族や友人たちとの
    団欒、談笑のある生活や、誰かと繋がっている実感、絆を感じ
    られる人間関係があることや、自分の生きてきた物語をもっている
    こと、たとえ僅かであっても他人から感謝されたことがある人。

  • 皆さんは、これらのことは持たれているいるかと思います。
    それが幸せなことなのです。

  • 多くを望まずに、このように身近にある思いに感謝する。
    自分を支えてくれている人たちに感謝し続ければ
    必ず心は満たされるはずです。

  • 最後にインディアンの詩を掲載します。
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  • --
    ●アメリカン・インディアンの詩
  • 今日は死ぬには     とてもよい日だ

  • あらゆる生あるものが  私と共に仲よくしてくれる

  • あらゆる声が私の内で  声をそろえて歌っている

  • すべての美しいものが  やってきて  私の目のなかで憩っている

  • すべての悪い考えは   私から出ていってしまった

  • 今日は死ぬには     とてもよい日だ

  • 私の土地は平穏で    私を取り巻いている

  • 私の畑には       もう最後の鍬を入れ終えた

  • わが家は  笑い声で満ちている

  • 子供たちが帰ってきた

  • うん、今日は死ぬのに  とてもよい日だ

  •       Nancy Wood From Many Winters
    タオスのプエブロ・インディアンの詩

  • ●成熟という生き方

  • ●価値観がもたらすもの
  • 恋愛をしている時の感覚を覚えていらっしゃるでしょうか?
    花の光沢が輝き、風に薫る春の甘ったるい心地よさ、朝陽の
    もたらす一日の心浮くときめき、陽が沈み暗闇が訪れるまでの
    青い時、自然の移ろいに心が奪われていく。

  • 生きていることの歓びを感謝したくなった。

  • また、学生時代などで打ち込んだ活動で仲間たちとの一体感に
    心の底から湧き上がるものを感じ、陶酔感を味わったことは
    なかったでしょうか?

  • これらの感覚こそは生の充実感であり、いいかえると至福の
    時でなのです。幸福感とはこのような瞬間の持続といえましょう。

  • 歳を重ねることの素晴らしさは、生の充実感を日々味わうことで
    あり、自然の中で生かされている多くの動植物たちと、そして家族や
    友人、仲間と過ごす平穏な時間に至福感を味わうことにあります。

  • そのような心境に至るために必要なのが、価値観なのです。
    前半戦のようなお金とモノを追い求めていても精神的な満足感は
    得ることはできません。求めていることが異なるからです。
    価値を見出す基準が違うからです。

  • 確かにお金やモノを求めて手にした時には、満足感は
    あったと思います。
    でも、いかがですか、それに満足し続けていますか。

  • もっと広い家、立地のよいを家に住みたい。
    ベンツの排気量の大きい車種に乗り換えたい、今度は
    ポルシェが欲しいと欲しいモノはさらに上のモノを
    求めているのではないでしょうか?

  • 一時的な充足感はさらなる満足を求め、欲望はこれでよい
    というストッパーが壊れて、欲望の蓋がなくなってしまって
    いることを感じませんか?

  • 人間は、いつまでも成長し、進化し続けることを望む生き物
    なのです。そりは欲望の充足ではなく、精神的、知的な何かを
    求めていることなのです。

  • ●成熟ということ
  • 人生の後半戦を心底から味わうためには価値観が変えることが
    必要なのです。新たな価値観は精神的な満足を求めていきます。

  • すべての人間に平等に訪れる死と向き合って、自分なりの死生観を
    もつ、死について納得のいく答えを持つことが後半線の出発点。

  • 死生観をもっても友人と旅に行きたい、奥さんは旦那さんとは
    行きたがってはいないようです。
    衣服や貴金属、車が欲しい、浴びるほど酒を呑みたい。
    男はこちらの要求が強いようですが。

  • 旅などでは死生観をもった後では、見るもの、食べる物、土地の
    歴史や文化がこれまでとは違った深いものになることでしょう。
    歴史は、一族の栄華盛衰の跡を物語っており、古寺には戦火を
    免れた兵士や難民たちが訪れたこともあったでしょう。

  • 必ずしも僧侶たちの修行の場であったのではないでしょう。

  • 古代の遺跡には、今日の文明に侵された庶民とは異なった
    悠久の時が流れていたことが想像できましょう。
    日々、食べるためにだけ生きていたと思われる縄文時代は
    とんでもない誤解です。
    想像力のない、想像力の欠如した見方です。

  • 縄文土器にみられる芸術性は、生きていることの情熱を
    極限にまで表したものなのです。
    岡本太郎という天才がいなければ、この縄文土器に秘められた
    私たち日本人の祖先の情熱は読み取れなかった

  • 歳を取ることで歴史上の史跡や遺跡に多くのものを学ぶことが
    できるようになります。それは人生経験を得たから理解できる
    ことです。

  • モノではなくコトにの中に気持ちの充足感を、心からの満足を
    感じて、それらのことに幸福感を味わって暮らすのは、仏教僧が
    長年の修行で悟りを得て、涅槃の境地に達した世界と同じなのです。
    後半戦で待っているのは、このレベルなのです。

    それにはさらに学んで人間としての成熟が望まれます。

  • ●中年になったら価値観を変える

  • 前回の死生観をもつことの大切さはご理解頂けたでしょうか?
    まだ、第一線で仕事をしているのでずっと先のことでよい。
    死んだらそれで終わりだから、考えても仕方がない。

    もし、そのように思っているならば、あなたの出世はこここまでです 。
  • 会社もあなたを必要としていないでしょう。やがては家族からも
    見放されていきます。

  • 今生きているのは、家族、友人、会社という支えがあってです。
    あなたはこれらの多くの人たちに支えられて、今日があるのです。
  • 残される人たちのを思いやることが人としての基本だと思います。
    若い独身の身ならばともかくですが・・・

  • 価値観についても同様、前半戦ならば自然観、宇宙観、歴史観などに
    基づかない価値観でもよいのですが、後半戦では死生観、自然観が
    あって、それらを判断基準にした価値観が必要となります。
  • 自然観を基にするというのは、私たち人間はすべて大自然の恵み
  • によって生かされている、ということを改めて認識することなのです。

  • 太陽の光、水、大地があって食物は育ちます。
    人間が栽培しているというのは、植物の成長を農薬などを使用して
    手伝っているだけなのです。自分たちの都合の良いように管理して
    いるだけです。

  • このような真理を知ると、人間の人智を超えた存在に圧倒され
    大自然に敬虔な気持ちになります。
  • りんごの無農薬栽培に長年に渡って挑み、成功した木村秋則さんは、
    「自然の手伝いをしてその恵みを分けてもらう。それが農業の本当の
    姿なんだよ」20年後にそのように語った。
  • 自然観に関しては、ご理解いただけると思います。

  • ●何故、価値観が大切なのか?
  • 私たちは、日常生活しているなかで実に多くの判断や意思決定を
    行っています。
    そのときに判断、意思決定をする基準となるのが価値観なのです。
  • これは「個人的な感覚」と「自分が経験した物事」の結びつきに
    よってできています。それが価値観です。

  • 後半戦をどのような人生観のもとで生きるのか、それは価値観が
    判断することになります。このような生き方が素晴らしいと
    思えるかどうかは、あなたの価値観に委ねられるわけです。

  • ただし、明らかに前半戦とは異なる環境が待ち構えており、
    それらに対応するには、自分の感覚や過去の体験では
    判断できません。死生観なども前半戦では、考えてこなかった
    わけですし、ましてやそれらを基にした人生観などは
    築かれてこなかったのです。

  • しかし、これから学んで考えて価値観を少しづつ変えていくことは
    可能です。すべての人が生まれた時から、老成化した人生観を
    もっているわけではありません。

  • 一番よいのは、病気になって死を真剣に考えざるを得ない機会が
    与えられることですが、なかなかそうもいきません。
  • 中年という時間は、これらのことを学ぶための時間なのです。

  • ここで立ち止まって、学び、考えることをしないで前半戦と
    同じ価値観と人生に対する姿勢でいたら、苦しむ後半戦が
    待っていることだけは確かです。

  • ●中年になったら死生観をもつ
       「死生観があっての人生観」

  • 前回の繰り返しになるのだが、改めて死生観の大切さについて理解し
  • て欲しいので書きます。
    人生の前半戦は仕事をして家庭を持つことを考えているだけでよかっ
  • た。まだ両親共に健康で自分自身の社会的な立場もあいまいであり、
  • 仕事を通じて自分という存在を確認することが大切であった。

  • しかし中年になってからの後半戦というのは、登山に例えると下山す
  • る段階なのです。登るときとは違った体、筋肉、心構えが要求される
  • のです。登る時は心身ともに辛いのですが頂上を目指す目的が強い動
  • 機づけとなっています。途中で振り返ったときに自分が頑張った成果
  • が眼下に見下ろし光景として確認でき、励みになりさらに登る意欲を
  • 勧める力が湧いてきます。

  • 人生において残念なことは、すべての人が頂上を極めて下山できない
  • ことかもしれません。太陽が沈み闇夜になる前に下山しないといけな
  • いのです。多くの人は体力だけを根拠に自己満足し、己の欲望を満た
  • すために頂上を目指してしまっています。そして気づいたときには闇
  • 夜が迫り動揺するのです。

  • 闇夜というのは病での余命宣告です。すべての人に平等に訪れる「死
  • 」なのです。予め死の準備をするといっても...と思われるかも
    しれません。悟りを開くようなイメージをもたれるかもしれません 。

  • どのように強固で自信に満ちた人生での前半戦で得た人生観があって
  • も「死」という真理の前では何の力にも支えにもならないのです。死
  • に向き合って考えたものではないからです。

  • ●死生観を築くこととは
    幸いにして人生のハーフタイムまでに病や事故などで死に直面した人
  • は死生観を持っています。また身近な愛する人の死を体験した人も同
  • 様です。しかし多くの人たちは「死」ということを忌み嫌って目をそ
  • むけてきました。そのために中年以降の人生は精彩の欠いた時間を過
  • ごしてしまっております。自分は死んでいくことを真剣にに考え、「
  • 死」とはどのようなことなのか、突然「死」を宣告された人々はどの
  • ような心の振幅、葛藤、死の受容に至ったのか、古代の人々は「死」
  • をどのように考えたのか....多くの本が10年程前から出版され
  • ています。死生観をもつということは「死」について学ぶことです。
  • 体験できないことですので。

  • ●死生観がもたらすこと
    「死」について学ぶことは一番の影響は、人生の質が大きく変化する
  • ことです。前半戦の時間は量です。深い味わいや心からの充足した時
  • 間ではないことに気付きます。
    「ガンになって、人生の残りの時間を意識するようになった。ものを
  • 感じる力がより深くなった。紅葉の美しさ、桜の花びらの一枚一枚の
  • 色が心に染みる。来年は見られないかもしれないと思うと、見たもの
  • が愛しく、大切に思えるようになった。」  鳥越俊一

  • 人生の後半戦というのは、その人にとってさらなる成長、成熟してい
  • く時間を与えられたことなのです。ただ、このハーフタイムで「死」
  • と向き合わずにいれば、やがて訪れる自らの余命宣告を絶望、落胆し
  • 、様々な後悔にさい悩まされてしまいます。

  • 死生観をもつこと「死」について学ぶことは、自分の再評価であり、
  • これまでお話してきた「やりのこしたこと」を整理し実行する新たな
  • 人生の始まりになるのです。これがなければ、このまま流されて疲れ
  • きったハリのない時間を送り、残された寿命よりも早く幕を下ろす結
  • 果になります。死生観をもつことは「心の健康」であり「魂の健康」
  • に結びつくことでもあります。

  • 最後にお勧めしたい著作を挙げます。
  • 「恐山」南直哉 新潮新書
    「(死ざま)こそ人生」柏木哲夫 朝日新書

  • 中年になったら心の赤信号が灯る

  • 若い頃の夢、やりたいこと、新たな習いごと、
    ボランティアなどへの挑戦を考えていただいたでしょうか?
  • どのような気分でしたか?
    楽しかったり、ワクワクしたり、気持が高揚したりしませんでしたか?
  • 最近味わったことのない気分だったと思いますが。
    このことだけでも脳内では、快楽ホルモンが分泌され、免疫力が高まったのです。
  • しかし、中年以降はホルモンの分泌は低下し、心の老化が始まります。
    最近の研究では、男性にも更年期があることがわかってきました。
  • 怖いのは、自覚のない症状で事件を起こしてからわかることがあります。
    それは性ホルモンの減少が心に影を落とすことでの異性への痴漢行為です。
    ほとんどの逮捕者は、酔っていて・・・と言うそうです。
  • 本人にとっては、半ば無意識の行動ではあるかもしれません。
    許されることではありません。
    しかし、彼は自分が中年であり、このような行為を起こすかもしれない、と
    いうことを学んでいなかったと思います。
  • 逮捕されれば、懲戒免職。退職金は出ません。
    その後の人生は、家庭崩壊、子供たちからは軽蔑され、マイホームも手放して
    離婚の慰謝料に・・・次の仕事もどうでしょうか?
  • 少しでもホルモンの減少がどのようなことになるのか、その結果は・・・と
    考えていれば酒で酔ったとしても痴漢行為に対して歯止めがかかったのでは
    と思います。
  • また、うつ病についてもこの時期の体調の変化が起因しています。
    睡眠が浅くなったり、寝つきが悪い日が続いたら、精神科を訪れましょう。
    内科ではダメです。
  • また、根性論で乗り切ろうと頑張っては、症状を悪化してしまいます。
    そうなるとなかなか元に戻ることはできません。
  • ●新たな価値観への転換
  • 人は各々、人生観、価値観を持って生きています。
    後半戦はこれまでの人生観だけでは、乗り切ることはできません。
  • お金が大切、などというのは価値観でもなんでもありません。
    そのようなレベルの価値観しか持っていないのならば、もう一度
    よい機会ですから学びましょう。
  • さて、後半戦を有意義に過ごし、有終の美、有難うと満足して
    旅立つために必要とされるのは、「死生観」です。
  • 「死生観」があって、そして人生観、価値観があるのが正しい。
    「死生観」のない人生観などは、あなたの人生を支えることは
    できません。
  • これから訪れる場面で人生観は崩れ、変ってしまいます。
  • ●死生観なき人生観はムダ
  • さて、「死生観」を持つということはどのようなことか?
    それは「死」というすべての人間に平等に訪れる捉えがたいものに
    ついて真剣に向き合い、考えることです。
  • そこで自分なりに納得することが「死生観」といえましょう。
  • すぐに納得したり、理解できるものではありません。
    宗教を始め、心理学、哲学、医学、小説などで様々な言葉で
    「死」について語り、記しています。
  • 「死生観」を持つことは、自分の人生を見直し、再評価して
    次のライフステージに上るための切符のようなものかもしれません。
  • そして、人間として成長し、心安らかに幕を降ろしてもらえるか。
    その間のあなたを支えるのは、お金でも家族でもなく、「死生観」だけ
    なのです。
  • あなたは、これまでどれだけ「感謝」して「有難う」という言葉を
    発したか、そのような気持ちで過ごしてきたか。
    そして素直に「ごめんなさい」と言えたか?
  • これは心の在り方の問題であり、その心を支えている人生観の底にある
    「死生観」の存在なのです。
  • 死があるから生が充実するのです。
    死は、生の延長上にあるのではありません。
  • ゴールがわからずに走っている、頂上が見えずにいつまでも登っているのが
    これまでの前半戦なのです。
  • これまでにどれだけ心から満足したことはありますか?
    それはどのような状態かというと、これで死んでもよいと心の底から
    湧き上がる時を経験したか、なのです。
    経験された方はお解かりのことと思いますが・・・
  •  
  • 最後に参考になりますので、是非ご一読を。
  • 「死ぬための教養」 嵐山光三郎 新潮新書
    「たけしの死ぬための生き方」ビートたけし 新潮社
  •  
  • ●中年になったら.残された時間を考える

  • ハーフタイム中に後半線への挑み方を考えるときに
    一番大切なのは、残された時間に限りがある自覚です。
    もちろん、ロスタイムもあるかもしれませんが、
    ここでは、それはオマケとして考えないで下さい。

  • さて、前半戦でできなかった若い頃の「夢」を思い出して
    いただけましたでしょうか。

    何故、その夢を追い求めることができなかったのか、
    今ならば冷静に分析できると思います。
  • 親の反対、お金がなかった、家庭の事情で諦めざるを得なかった、
    能力がないと判断した等の理由はあるかと思います。

  • でも、アスリートやプロスポーツ選手などの肉体的なハンディを
    除けば今からでも挑戦できる夢もあるのではないでしょうか?
    何もその道でのプロを目指すだけが追い求める道ではないのでは・・・

  • 詩集「くじけないで」の出版で注目を浴び、今月20日に亡くなられた
    柴田トヨさんのように90歳から息子さんのアドバイスで詩作を始め
    98歳の処女出版で58万部のベストセラーを生み出すこともまだまだ可能です。

  • 60歳から勉強を始めて司法試験に合格した人、地域で起業し地元の雇用に
    貢献した70歳経営者、40歳で出家し54歳、61歳の二度に渡って千日回峰行を
    行った酒井大阿闍梨、いろいろな可能はあります。
  • 自分にはできないと諦めたら何もできません。
    できるかどうかではなく、やるかどうか、
    決めて行動するか、なのです。

  • 中年といってもまだ時間は残されています。
    ただし、限られてた時間です。

  • ●完全燃焼するために
  • その時間を自分夢に燃焼させるか、社会のために利他の心で奉仕しようと
    考えるか、いや今までよいと考えるか。
    ハーフタイムの時間は、その気持ちの整理と決断のためにあるのです。
  • ここで立ち止まって考えなければ、次に考える時は病気になって
    死に直面した時か、退職もとくはリストラされた時になります。
    それは自発的に行動を選択できる時ではありません。

  • どのような人生を送ってもホスピスに入ると後悔は浮かぶそうです。
    ただ、同じ後悔であっても、やらなかった後悔は強くその人の心に
    負い目のように刻み込まれているそうです。
  • それに対してやってしまったことでの後悔は、魂に深く刻まれることは
    なく、思い出に変ってしまう。

    人は自分を語る「物語」によって支えられています。
    この種の後悔は、「物語」になってしまうからのでしょう。
  • そのためには完全燃焼したかどうかが分かれ目になります。
    もし、中途半端だと思ったら、後半戦で完全燃焼するまで
    挑戦されることをお勧めいたします。

  • ●新しいことに挑戦
  • 人生の前半戦は十分戦ったと思われる方には、新しいことへの
    挑戦をお勧めします。
  • もしかしたら、貴方は燃え尽きているのかもしれません。
    今、考えておかないと中年期の体調の変化、心身への変化に
    対して抵抗力を持たずに「うつ病」になる可能性があります。
  • 前半戦に全力を尽くした人ほど、気持ちの切り替えができずに
    後半線の半ばで心が折れてしまうことが多いのです。
    筆者が味わったことです。

  • 四十代になっても三十代と同じ働き方をしていると友人に
    指摘されたのですが、その意味を深く考えずに頑張った結果、
    四十台後半から急に心身のエネルギーが枯渇し、仕事上の
    失敗でうつ病になりました。

  • それは後から主治医に指摘されたことで、そのときは頑張りが
    足りない、と自分を責めました。
    結果的には、仕事、信頼、家庭、財産すべてを失いました。
    たかが心の病気、うつ病といってもそれだけですべてを失う。

    外科的な交通事故ならば、そのような結果にはならなかった。
  • さて、新しいことへの挑戦する意味は、少しご理解いただけました
    でしょうか。心が前向きになり、一番効果的な老化防止になるのです。
  • このことは脳科学でも実証されてきております。
    快楽ホルモンが分泌されることで、身体の機能に良い影響があります。
    もちろん健康に直接影響の及ぶことなのです。

  • 新しいことには、いくつかの考え方があります。
    自分の好きなこと、これまでの趣味をさらに深める。
    これは従来の延長線上であって、好きなことが生きがいになって
    いるのならば良いのですが・・・

  • 新に始めてのことに挑戦する。習い事や学習です。
    また、ボランティアなどもよいです。
    知的好奇心を刺激することと新たな人たちとの出会いが
    一番のポイントになります。

  • 今までことは、自分中心の事柄でしたが、別の考え方として
    社会のために何かを始める、つまり利他の心での挑戦があります。
    ボランティア活動などがこれにあたります。
  • また、各種の社会問題に対しての活動もあります。

    一番手軽にできるのは、近所のゴミ拾いや通りすがりの人への
    挨拶です。そこから新たな何かが見つかります。
    是非、ご検討されることを・・・



  • ●中年になったらハーフタイムを取る

  • 何歳から中年なのか、ということは意味がありません。
    不惑の心境にならなくても、私たちの身体の細胞は日々
    失われていきます。それは老化なのです。

  • 中年というライフステージは、青春の次のステージでは
    ありません。老年ステージ、高齢ステージに上手く昇り
    フィナーレを、エンディングをいかに成熟した人間として
    終えていくか、そのために準備するための大切なライフ
    ステージなのです。

  • 人は皆、自分の人生というステージを持ち、その劇での
    主人公です。人生の脚本・シナリオは自分で描かなくては
    なりません。

  • そして演じて人生という劇の幕を降ろすのです。
    ただし、その幕はいつ意図せずに降りるかはわかりません。
  • せめて、シナリオ通りにいかなくても途中までは主人公として
    人生のステージに立ちたいものです。

  • さて、中年ステージはこれまでの劇の前半戦とは大きく異なります。
    徹夜しても平気で仕事に打ち込み、多少の肉体的な痛みなどは
    翌日になれば忘れている。

  • また、家庭を築き、張り切った頃のあの気持ちは中年になったら
    薄らいでいる。仕事も何もわからずに夢中で覚えていった頃は
    過ぎて、後進の指導や部下の管理をしなければならない。

  • 定年なんて遥か遠くの世界だと思っていたことが、近づいていることを
    感じられるようになったり、物事に対しての興味が失われていったり、
    人生前半戦の疲れを感じたりするようになるのが、中年なのです。
    人生への希望よりも絶望を感じたりすることがあります。

  • 最初にやるべきことは、今はハーフタイムを取りましょう。
    後半戦に備えて、疲れを取り、そして後半戦のシナリオを
    書きましょう。それでないと味気ないステージしか待っていません。
  • やるべきことは、前半戦の人生ステージの整理です。

    一度、書き出してみましょう。
  • これまでの人生ステージは、社会人になる前に描いたシナリオと
    異なりますか?
    異なるとしたらどのようなことでしょうか?
  • 昔は夢があったはずです。

    それはどのようなことだったのか?

    その夢をこれからのステージで実現することはできないでしょうか。


  • ●笑顔で一年を

  • 「人は幸福だから笑うのではない。笑うから幸福なのだ」
  • (「幸福論」アラン 仏、哲学者)

  • 最近の脳科学での画期的な研究成果に「ミラーニューロン細胞
  • (別名、共感細胞)の発見」があります。簡単にいいますと、自分の
  • 目の前にいる他人の動きを「鏡のように」反映して敏感に
  • 反応する細胞です
  • それとともに私たちがどのように他人に共感するかという仕組みも
  • 明らかになったのです。

  • 人は誰しもが幸福を願っています。幸福感や快感を求めています。
    脳科学では、脳内快感物質(ドーパミン、βエンドルフィン)が
  • 分泌されている状態であることがわかってきました。
  • では、どのような時に快感物質が放出されるのでしょうか。
  • それは「利他行動」や「祈り」のときです。

    利他行動とは、他人のために利害なしで行動しているときです。
    子供のため、恋人のため、ボランティア活動などを行っているときに
  • 快感物質が多く放出されるのです。
  • そして何よりも多く分泌されるのは、利他行動の対象となった人の
  • 感謝の気持ち、つまり笑顔をみたとき。

  • 別の研究で脳というのは、騙されることもわかってきました。
    楽しくないのに笑顔をつくると、脳内では楽しいことがあったと
  • 錯覚し快感物質が分泌されるのです。

  • また、この快感物質は免疫とも深い関係があることまでも解明されました。
    楽しくなくても笑顔をつくると脳は錯覚して快感物質を放出し、
  • 同時に免疫細胞にも働き掛けていることになるのです。
  • もちろん、免疫細胞が活性化すれば治癒する病もあります。

  • 私たちは年齢を重ねるごとにすべての身体の機能は
  • 衰えていきます。
    年配者ばかりのグループに入ると何故か明るい気持ちには
  • なれませんね。それは年配になると口角が下がり不機嫌な
  • 印象を受けてしまうからなのです。

    ミラーニューロン細胞が「への字」になった口元に共感して、
  • 自らも重苦しい、不機嫌な状態を作り上げてしまうからなのでしょう。
  • その逆だと自然に笑顔に引き込まれ、理由もないのに気持ちが
  • 晴れやかになり、微笑んでいることがありますね。
  • 赤ちゃんの笑顔を見たときです。

    教えた訳でもないのにあの「天使の微笑み」と呼ばれる笑顔は
  • 素晴らしいですね。
  • さらに笑いになると健康に大きく影響することがわかってきました。
    イネゲノムの解析を成功させた村上和雄教授たちが行った
  • 実験で証明されました。

  • 糖尿病の患者25人を集め、2日間実験しました。1日目は
  • 大学教授の講義後に血糖値を図ったら平均で123mgに上がり、
  • なかには200mgを超えた患者もいました。

    2日目には、吉本興業のB&Bの漫才。そのお笑いの後に同じように
  • 血糖値測定を行ったところ平均血糖値は77mgに下がりました。

  • 講義と漫才での笑いの差は、46mgという結果でした。
  • 中年になったら意識的に笑顔をつくりましょう。
    それだけでも健康になるかもしれません。脳が錯覚して
  • 快感物質を生み出して免疫細胞に働くからです。

  • 笑顔には、周囲や接する人たちを明るくさせる効果が
  • あるばかりでなく、その輪が広がれば地域までもが明るくなります。

    笑顔の人が増えれば増えるほど健康な人も増えることになります。
    そして互いを見ることで共感し合い、幸福感が増すことは確かです。
  • 今年1年、笑顔を作ることを意識して過ごしましょう。


  • ●インディアン・ギフト

  • クリスマスの時期となり、何を贈るのか迷っている人が多いのでは。
    中年の皆さんは、子供の頃にクリスマスにどのような思い出が
  • ありますか?

  • キリスト教に馴染みのない我が国においては、クリスマスはキリストの
    生誕を祝う儀式よりも、いまや若者のイベントと化してしまった。

  • 真冬の太陽がもっともエネルギーを失っているこの時期に死霊が来訪を告げる祭りが古くからあった。凍てついた時期に祭りを行うのは、大地の下にある生命が春に甦ることを願う人々の祈りである。

  • 死者は見えないので、その表象化した存在として子供が選ばれた。
    子供という存在は、目に見えない死者の領域と深いつながりをもっていると考えられていたからだ。

  • 生者は死者に、大人は子供にさまざまな贈与が行われるようになった。
    そしてお供物のライスプディングやお菓子など物質性を与えて、
    死者の霊への贈り物をしたのである。

  • 贈り物をすることによって、冬至にピークを迎えた宇宙エネルギーの
    弱体化に影響をおよぼそうと試みたのである。
    それは物に込められた「贈与の霊」に運動を起こさせることなのである。

  • 北欧を中心に広く冬至の儀式は行われており、キリストは
  • 夏に誕生した
    キリストの生誕をこの時季に変えた。そしてクリスマスとして
  • 生誕を祝う儀式としてキリスト教の普及を図ったのである。

  • クリスマスの日に物を贈与するという行為の根本は、キリスト教とは
    関係なく、伝承されていた。
    最も深く浸透していたのが、アメリカン・インディアンである。
  • 「インディアン・ギフト」という言葉がある。

    インディアンの人たちの伝統として贈り物をする慣習のことである。
  • 彼らは、贈り物には霊が宿っており、「贈与の霊」として捉えていた。
    そして贈り物をすることは、霊を動かすことは大地の霊を動かすことでも
    ある。大地の霊が流れることは、大地を豊かにし、人々の心を活き活きと
    させるのである。

  • 「インディアン・ギフト」には、贈った人と贈られた人とを結ぶ実存的な
    きずなが生まれる。そして贈られた人が別の人に贈り物をすることで
    人間的なきずなは強固になる。人間関係の礎となる大切な行為である。
  • 贈り物を自分の元に留めること、所有、蓄積することは物質的には豊かに
    なるが、魂を豊かにすることはない。なぜならば人間の魂は大地を循環する
    「贈与の霊」と共にあるからなのだ。

  • 贈与の精神については、ブッダもキリストも共に重要な教えとしている。
    ブッダは利他の心、キリストは惜しみなく捧げる「聖霊」と表現している。
    キリスト教の神とは、無償の贈与者なのである。
  • だから神を信じ、付いて来なさい。

  • また、哲学者のハイデッカーは存在を思索し続けた結果、「存在とは贈与
    するものである」と表現した。
  • インディアン・ギフトは「ギブ・アウェイ」として一番大切なものを弱者
    (孤児、年寄り、病気で苦しむ人、子供)などに一番先に贈ることが
    正しい精神。

  • そして何よりも基本となる考え方は、持っているものをすべて与え尽くす
    ことである。ものは必要なところには留まる。
  • 贈り物には、このような哲学が古代から受け継がれてきた。
    ただ農業の普及によって、所有、蓄財が人の心を支配するようになり、
    その発展したのが今日の貨幣経済である。

  • ものが留まることをインディアンの人達は恐れた。その通りになった。
    贈り物という行為から霊・魂が喪失したからである。
    贈り物は皆が所有してしまうことで「贈与の霊」が流れなくなったからだ。
  • ものを所有することは、ものがなくなることを怖れ、ものに執着することなのである。

    言い換えるとものを通じて、人は自己的になってしまったといえよう。
  • 霊・魂の存在を否定することは、時代遅れの、無学な者となりつつある。
    ものに執着することは、自ら幸せを手から離していることなのである。

  • クリスマスを機会に「贈与」、古代から受け継がれている儀式の意義、そして
    キリストの生誕を冬にまで変えたことについて考えてもらえればと思う。

  • ●人は生きたように死んでいく

  • 言葉としてはわかりやすいのですが、具体的には
    どのようなことかわかっていなかった。

    「人は生きたように死んでいく」と記したのは終末医療に
    関わった医師の実体験だからである。
  • 毎日のように「人の死」に直面する仕事など稀である。

    "死を前に残された時間をどう過ごすのか?"
  • この言葉の意味するのは、
    仕事に打ち込んだ人は死の床についてもさえも仕事をしている。
    不平不満ばかりを言いながら生きてきた人は
  • 終末医療のスタッフにやはり愚痴をこぼす。
    感謝しながら生きた人はスタッフに感謝しながら亡くなっていくそうです。

  • どのような心境で最後をを迎えようと魂は肉体から
  • 離脱しつかの間の今生は終焉になるのだから変わらないと
  • 思う人が多いかもしれません。

  • 筆者も体験するまでは「人は生きたように死んでいく」
    を理解できてはいませんでした。

  • 筆者は7月にガンを宣告されました。病院を強制退院して
    セカンドオピニオンに移るまでの間に黄疸が悪化し
  • 断食状態になりました。

  • 友人が手配してくれた病院に担ぎ込まれたときには
    死は覚悟していました。強制退院したのは身辺整理の為です。
    再入院後もやり残したことがあり気になっていました。

  • 次々と見舞ってくれる友人たちが、私がやり残したことを
    引き受けてくれたり、片付けてくれることを約束、実行してくれました。

  • 高齢ながら猛暑の中を訪問してくれた私の師匠の
    「お前ほど幸せな奴はいないな!」の一言。

    「家族がいても見舞いに来ない。独り者でも
    友人が親身になって動いてくれる。お前のどこが
  • よいのかわからないな」。

  • 改めて気づかされました、感謝するということを。

  • 「みとり難民」。聞き慣れない言葉かもしれません。
    「最後を迎える場所」が無い人たちです。

  • 病院、老人ホーム等以外で息を引き取るケース
  • が18年後には年間死亡者の25%になるとの予測があります。

  • 「孤独死」が4人に一人の割合という時代に。
  • ガンになって心より良かったと思います。友人たちに支えられ、
    感謝する日々を送っています。


  • 「一日一生」です。

    ●杖とサウナ室

  • この駅の周辺はコリア・タウンといわれ、
    韓国・朝鮮系住民が多く住む。

  • そのせいで韓国・朝鮮系の他、中国やタイを始めとして
    ミャンマーやトルコなどアジア各国の民族料理店などが多い。
  • 全国チェーンの店も加わり飲み食い処と言った感じの
    飲食店が通りには密集している。

  • 駅西側には、昔からの楽器店も多い。
    そこにそのサウナホテルはある。
  • 駅から3分、1泊3,000円。

    ここの常連となり、ひと月以上経つ。しかし新参者だ。
    年こそ下の人たちが多いがここの先住民は様々である。

  • 家は千葉か埼玉か?帰宅よりは時間が節約になるという
    サラリーマン。それだけではあるまい。気が楽なんだろう...

  • 独りになりたいと気分転換に宿泊する年金生活者。

    家に居ると家族がウルサイのか。歩く粗大ゴミ扱いされているのかな

  • 腎臓透析の病院が近くにあるとのことで連泊する団体の代表。
    取り巻きの提灯持ち、茶坊主、幇間どももご一緒です。

  • 歌舞伎町で店を経営する社長。交通費を考えればもっとも
    リーズナブルな家である。

  • 社員はすべて世界中に出張中なので近場に泊まっている経営者。

  • 建設現場が追い込みに入っていて時間の節約を目的とする現場監督。

  • 10年以上、ギャンブルで生計を立てているという40歳代半ばの独り者。

  • 住居を持たないネカフェ、いやサウナ難民の若者たち.....

  • そして退院後の静養で滞在する還暦過ぎの独り者。
  •  
  • ある日、杖を突き、従業員が心配そうに見つめる中、
    足元が覚束ない高齢者が玄関をくぐる。

  • その老人の話によると。
  • "子供の頃はあんなに可愛がったのに・・・
    今じゃ、私の言うことは何にも聞いてくれなくて。
    せめて財産があれば、財産目当てに私のことを面倒見てくれたのに。"

  • 老人は、脳溢血を患い、歩けるまでに回復したものの、76歳という
    年齢は元の姿には戻してくれなかった。

  • 彼にとっては、そのこと以上に息子たちが自分を労わってくれない。
    お小遣い上げるからと用事を頼んでも、いらないと断れいうことを
  • 聞いてくれない。そのことが腹立たしく、それで
  • タクシーを捕まえてホテルに来た。

  • ホテルでは彼のような高齢で肢体不自由な客は珍しく、
    従業員たちが気遣って付き添ってくれていた。
    おそらく、家庭では受けることのない思いやりなのだ。

  • 彼は老人ホームに入るだけの資産はなく、
    資産があっても家族がそれを許さない。
    これまでの彼の生き様を家族が拒否している。
    しかし、老人にはそのことがわからないのだ。

  • 家族の者は、毎日のように老人の愚痴を聞かされているのであろう。
    聞き流されるとはいえ、家族がいる。
    それでも自分を何よりも慕ってくれた。
  • 短かい期間であったが、その幸せだった記憶が彼を苦しめている。

  • 人生は喪失の積み重ねだよ。
    そう老人に言いそうになった言葉を飲み込んだ。
  • 話を聞いてあげるだけでよいのだ。


    そのような声がした。

  • ●増加する孤独な老人

  • 高齢者の孤独。参列者2名という葬儀があった。
    亡くなったは80歳過ぎの老婦人。
    死後4ヵ月たって見つかった。

  • 彼女は文盲であったが新聞を購読していた。
    月1回の集金人とのおしゃべりが何よりも楽しみにしていた。

  • 「ここは都会の墓場」。
    彼女が見守り活動のNPOに呟いた。

  • 葬儀に参加したのは、NPOの代表と集金人。
  • ------------------------------------------------
  • この話は神戸の大震災で被災し、難民住宅に入居した
    老婦人のケースである。
    神戸の場合、難民となった人たちへの入居は抽選であった。
    地縁から引き離された人たちは、見ず知らずの人たちと
    一緒に生活することになった。

  • 朝起きて挨拶する人もない。それまでの神戸市内で暮らした
    近所との「縁」が震災と抽選住宅で切られてしまったのだ。

  • 周囲に何故、助けを求めないのか?と人たちは言てう。
    私も昔はそのように思ったりもした。

  • しかし、長期間に渡るうつ状態を経験し、そのような考え方は
    健常者・強者の見方だと痛感した。
    面倒なのかと他人には映っているかもしれない。
    本人は自ら話しかけたり、救いの手を求めよう、という気力が
    喪失しているのだ。

  • それでも私がこうして掛けるまでになったのは、
  • 友人や身近な人たちが
    気遣ってくれたからだと思っている。

    特別宗教団体のように語りかけるな執拗な、よくいえば熱心な
    働きかけがあったのではない。

  • 愛情深く、真摯に、愛情と熱意で見守ってくれたからである。
    人生の先輩などは、私のうつ状態が深いときに
    何故か電話をくれた。

  • 会話の内容は。「食べているかなぁ!」

  • それだけである。
    気持ちが伝わるのだ。

  • 人事と思っていることがいつ、自分の問題になるのかわからない。
    そのような時代。
    常日頃から挨拶をしよう。
    元気を分け合おう。

  • 一灯照隅 万灯照国
  • ●支え合う社会づくりを !

  • わが国は高齢化率23%(2012年)、約国民の4人に1人が
  • 65歳以上となった。

  • この数字は、昭和22年生まれ以前の人たちであり、
  • ベビーブーム、団塊の世代の半分は入っている。
  • ただ、その後の世代たち、60~64歳の人たちの数も
  • 800万人ほどおり、現役を退いた人たち、社縁が
  • 切れつつある人たちが4人に1人いるという見方もできよう。

  • もっとも社縁が切れるのはほとんどが男性であって、
  • 女性は含めない。ヘルパーならば70歳を過ぎても
  • 女性ならば仕事がある。

    それに長年に渡って築いた地縁があるのが女性。
  • それに対して男性は、職縁、社縁がほとんどで、
  • 定年を境に存在価値を家庭や血縁、親族たちに感じられるか
    どうか。その程度でしかない。

    このことに気付くのは、定年退職してから。
  • なぜ、このようなことを書くのか、というとほとんどの人たちは、
    特にサラリーマンとして何も考えずに生きてきた。

  • 「生きている」と思うか、「生かされている」と考えるかの違いである。
    かつては日本企業では、研修という名の洗脳教育が行われていた。
    団塊の世代はこの教育で社蓄となった。自分たちが生きているのは、
    会社があってのこと、会社のために働かないと生活はできない。

  • 消費者がいて会社は存続している。社員も一消費者である。
    企業の社会貢献、コンプライアンスという概念など相手にされない時代。
  • 営業マンでは、売上のためならば法律に触れなければ何をしてもよい。
    管理職が叱咤し、部下たちは何の疑問も感ぜず、従った。

  • 皆、自分が大切な存在であり、死ぬことを考えることは怖い。
    自分の死など考えたくはない。それで過ごしてきた。
  • 朝目覚め、一日という時間は無事過ぎる。
    そして明日も同じように訪れ、過ぎていくと信じてきた。

  • 人は死んでいく。
    人は独りでは生きることはできない。
  • 「支える」といっても些細なことでよいだ。
    笑顔、挨拶。それだけで救われる人もいる。
    話を聞いてあげるだけで満足する人もいる。
  • それは自分が支えられることになるのだ。
  • できることから始めよう。

  • ●貧困と孤独のスパイラル

  • 6月時点で210万人を超えた生活保護受給者の43%は、高齢者世帯。
    そのうち90%は一人暮らしです。

  • 貧しいから外出しないで一日中TV相手に過ごしてしまう。
    決して楽しいから視るのではない。今のTV番組はF1と広告業界で
    分類する若い女性たちを対象として制作されています。

    消費が盛んな層をターゲットにしていないと広告が取れないからなのです。
  • なぜTVを朝から晩までつけているのか、それは長年の習慣であったり、
    何か音がないと寂しいからなのです。人の声がしないと一人暮らしの
    寂しさが助長されるからなのかもしれません。

  • 国の長寿医療研究センターで5年ほど前に「生活不活発病」という耳慣れない病名の研究を行うことを発表しました。この研究の目的は、高齢者の要介護状態や寝たきり状態の予防・改善です。

  • 同研究センターでは、次のように解説しています。
    「健康状態(疾患だけでなく加齢、ストレス等も含む)が生活・人生に与える影響に関する世界的な認識の高まりから生じたものであり、その重要性は今後ますます高まると予測されます。

  • 特に高齢者においては疾患のみでなく、何らかの生活機能低下を有することがほとんどであり、今後、高齢者医療および介護・保健において生活機能はますます重要視されるべきものです」

    国立長寿医療研究センター
    http://www.ncgg.go.jp/department/cre/index-cre-j.htm

  • 貧困と孤独の関係については、この「生活不活発病」の研究が進むほど明らかになってくると思います。
    環境の急激な変化が身体、精神に及ぼす影響について、特にコミュニティの持つ大切さを如実に表したのは、神戸大震災後の避難者住宅でした。

  • 抽選によって入居した高齢者の人たちは、これまで長年暮らしてきたコミュニティから分断されて新たな生活を始めるはずでした。しかし、避難者住宅では互いが閉じこもる生活となったしまったのです。

  • コミュニティの喪失は、高齢者に二つの大きな影響があることを教えてくれました。ひとつは「孤独死」という最後を迎える人が出現したのです。

    もうひとつは、話す人がいなくなることで、引きこもってしまう。
    その結果、急速な体力の低下が起こり、認知症などの病を発症する原因となることです。

    神戸の大震災から17年、2008年のリーマンショックを経て、高齢化は進み、100歳以上が5万人、「アラウンド・ナインティ(90歳を過ぎて活躍する女性たち)」などの元気な高齢者も増えています。

  • 活躍している人たちに共通しているは、日常生活が活性化していることです。やりがい、生きがいを持って日々を暮らしています。
    それを通じて仲間や友人たちとの交流、会話があり、笑うことで、
    「元気」を与えあっているように思ったりもします。

  • それに対して、社会的に孤独な存在となってしまうと、明らかに失われていくものがあります。「元気」です。そして人が寄り付かずに孤立化していきます。
  • 「貧困」というのは、経済的な問題だけで使用していません。
    金持ち、物持ち、人持ちと言葉があります。

    人が活き活きと暮らし、よい人生であったと最後に満足して幕を下ろす。
    金がないのが貧困ではなく、人持ちでないことが貧困なのです。
  • それは孤独であり、様々な病を引き起こし、貧困を招くことになるのです。
    支えられるだけでなく、支える存在でもありたいです。

    それは年齢に応じてできることです。
  • そして「貧困と孤独のスパイラル」からの脱出を手伝いましょう。
    孤独な人たちは、自ら抜け出そうという力が減じていますので!

  • ●年に1回は人生の棚卸

  • 毎年お正月になると、気持ちを新たにして良い年を!
    日本人ならば1月1日は特別な日ですね。

  • 大晦日とお正月、同じ1日24時間の日なのです。
    それがお正月という年に一度のハレの日を境にして
    変ってしまう。

  • 夜中の除夜の鐘を通じて百八の煩悩を清める
    価値のある時間が流れてゆき、そのまま新年のお参りに
    行く人、一度寝てから、と人によって儀式は異なっていきます。
  • ただ、お正月はほとんどの人たちにとって、新たな気持ちに
    させられる日です。

  • を年こそは、と目標や誓いを立てて敗れる繰り返し!
    新年という日は、新たな誓いを行うには良い日なのです。
  • 中年になったら、不良在庫の整理が必要です。
    いつしか、人脈という名のもとに多くの名刺だけが
    集まっていませんか?

  • 「人は期限付きの消耗品」なのです。
  • 長年に渡る喫煙や過度の飲酒など悪しき習慣はありませんか?
  • もし、あなたの人生があと一年しかなかったら・・・

  • 誕生日に、目に見えるモノ、大切な人・動物、趣味や習慣、
    目には見えないもの(愛、信頼、希望、友情、正義、思いやり
    絆、縁等)を書き出して、本当に必要なこと、大切にしなければ
    いけないことを整理しましょう。

  • 人生の棚卸を毎年、少しずつ実行しましょう。
    それが健康にも繋がることになります。
  • 方法については、下記の著作をご参考に!
  • 「死ぬまでにやっておきなさい」朝日俊彦

  • ●江戸にみる助け合い社会に

  • サブプライムの問題に端を発する世界金融危機は「豊かさ」=「金」
    を追い求めた結果、すでに2006年から指摘されていた破綻を引き
  • 延ばし、全世界を不況という嵐に巻き込みました。

  • 我が国では構造改革、グローバル化を押し進めた弊害として派遣の解
  • 雇から正社員の解雇によって一般生活者の労働機会を一方的に奪う流
  • れが加速している。

  • このような米国流のやり方、経営に対する考え方が浸透してしまった
  • のも、グローバルスタンダードという考え方に添った結果である。
  • 米国の労働感は若いうちに多大な資産を蓄え、50歳代でリタイアし
  • て自由に暮らすことが主流である。つまり、まずは自分の生涯設計で
  • あって会社、地域、社会的弱者などには関心が低いのです。

  • 当然、仕事に関しても経営者すら使い捨て。常に自分を高く売り込
  • もうという意識しか持っていないのである。それを成功と捉えている
  • ただ救いはキリスト教文化に根付いた寄付に関する権利と寄付文化、
    ボランティア精神が根付いていることである。

  • 我が国では寄付に対する税率が低く、キリスト教文化ではないので
    寄附=成功者という価値観は無い。災害後に見られるように困っている人を助ける事は一般の人の心中に浸透している。

  • 江戸時代までは庶民の生活を商人、地主、大家の面々が支えそのこと
  • を当然と考える美点がありました。一番優れていたことは寺子屋、手習いなどで教える教師であった。子供たちの将来を考え貧しい親たちからは金を取らず教師という職業を名誉として情熱を持って指導したことである。

    又、町内の道路掃除、防災等の環境整備については町役人が管理指
  • 導して整備をした。江戸の町民が最も夢中になった祭り、花火大会などの経費も大店が中心となって負担し、一緒に同じ町で生活することを意識していたのである。

  • 役人と名前がついているが町役人は地主、家主、商人などの民間人で
    捨て子、迷子の養育費等も含めた町の維持のために経費を支出した。
  • 町の治安維持、防災、保健衛生管理から庶民の教育まですべてを
    民間人(町民)が執り行っていた。

    基になっていたのは助け合い精神でなのです。

  • ●我、晩節を汚さず!(人の評価は晩節にあり)2012/7

  • (晩節:人生の終わりのころ。晩年。)

  • 人は皆の祝福を得て裸で生まれてきます。
    そして社会に出て、仕事や奉仕活動などを通じての社会貢献を行い、
    後進に道を譲りつつ、世を去っていきます。

  • 社会人になるまでは、卒業という節目があり、上級生であることを
    意識させられて「飛ぶ鳥後を濁さず」と教えられてきました。

  • 大人・社会人になると転勤、退社、転職などの他には、区切りが
    減った生活が続いていきます。社会人としての展望は閉ざされ、
  • 体力、気力共に衰えている自分にいつしか気付く。

  • 老後の設計などという本を手に取る前に、考えなければいけないのは
    晩節を汚さない生き方ではないだろうか?

  • 有名企業のトップではないから、と知名度、財産、ステータスを
    比べる人もいるかもしれないが、人の評価は肩書きや地位ではない。
    そのようなもので評価される時代ではなくなっているのです。

  • 50歳代の人ならば、まだ晩節というには、と若さを主張するかもしれない。
    いつからが晩節という定義などはない。50歳を過ぎたら、日々が晩節なのです。いつ病気になって一線から退かなければならなくのか、それはわからないからです。

  • また、日々が晩節である、という気持ちで自らを律するようにしないと
    多くの不祥事を引き起こすかもしれないからです。

    長年の惰性、思考の停止によって退任、免職の憂き目に合う行動、
    セクハラ、パワハラ、飲酒による暴力などを自制できなく
    なっているのが、中年なのです。
  •  
  • 朝目覚めた時から、新たな人生が始まります。
    心掛け次第で、変えることができます。
  •  
  • 晩節を汚さない生き方 (PHP新書 671) [新書]
    鷲田 小彌太 (著)

  • ●頭はひとつ(2012/07)

  • 「新しい」という字は、木の切り口から生まれた字である。
    木ヲキル:木の切り口のなまなましさを表す。
    「日に新らたなりというのが生命。新らたでない生命などはありえず、
    とわかりきった事実を知るときに、精神があらためて奮い立つ。
    新とは生命のことである」司馬遼太郎
  • 仕事中心の頃は数ヶ月先までの予定を立て、今日の行動は前日には
    決まっていた。目標を立てて生きることが求められていた。
    強いられた日常が継続することでの思考の硬直化、思考の停止・・・
  • 心理学者のユングが定義したペルソナ、つまり男らしく、社会人として
    のあるべき姿、家庭での父親像、管理職として評価される人間像を
    使い分けて、その仮面を被って過ごしてきた。
  • それらのペルソナに対してシャドーという抑圧された意識がある。
    この姿は自分ではないと否定するもう一人の自分である。
    その影は自覚できずにいる意識。
  • 中になったらビジネス書を減らして、宗教、哲学、文学などの分野の
    本を手に取り、切り換えないといけない。
  • やがては訪れる肉体の衰え、仕事人間としての限界、
    閉ざされる出世の道、突然に起こるかもしれない会社の倒産、解雇、
    失業、家族の病気、自らの病等々。
  • また、上司や友人の死、親の認知症の発症、介護という役割の襲来、
    人の死に直面し、悲しみ・心の整理を余儀なくされる。
    生きるための拠り所を求めざるを得ない失意、抑うつ、絶望・・・
  • 頭も心も一つしかない。明日を信じる、希望を託してきた考え方を捨てる。
    明日という日は、起きれば今日である。
    今日の予定は、その日の朝に決める。
  • 毎朝鏡に向って、自分は今日一日、何をしたいのか、自分に問いかける。
    一日一生でよい。体力、気力が充実している時から「下山の思想(五木寛之)」
    を読み始めるとよい。アップル社のスティーブ・ジョブの著作でもよい。
  • 中年のときにこそ、「新たな」が必要なのである。

  • ●中年という時間(2012/07)

  • 動物の寿命は、脈拍数、つまり心臓の働く回数がほぼ決まっている。それで動物の命の限界がわかるというもの。15億回である。

  • 人間の3歳児の心拍数は1分間に120回、呼吸数25、大人の倍であり、1日が倍近い。歳をとることで1日が短く感じられるのは、そのことと関係しているそうである。

  • 時間には、ガリレオの「振り子の等時性」、絶対時間がある。その中で追われて過ごさざるを得ないのが大人であり、中年まではこの絶対時間に支配されている。
  • 定時に出勤し、毎月のノルマ、納期、期限、締め切りなどに追われて、家族との生活のために毎月の支払い等々・・・1日が36時間あればなどと考えたりしたことも。

  • 江戸時代は、1日を六分して一刻が約2時間。子の刻、丑の刻が基準であった。現代のように分単位で切り刻む生活はなかった。当時は季節によって一刻の長さも変ったそうで、何とものどかな時間感覚であった。

  • そのことと健康、病との関係との研究が行われている。年間3万人を超える自殺の多くは「うつ病」。その原因に追われる時間との関係性があるという。

  • 人生50年の時代からいまや人生は80年。生物学的には、子育て後は「おまけの時間」であって、意味のない存在になる。

  • 中年といわれる世代でも子育て中の者から、子育てが終わった者までが
    いる。子育てを15歳までと限定すると50歳代になればほとんどは「おまけの時間」を過ごすことになる。

  • 考え方、視点を変えると意識も見え方も違ってくる。これまでの目に見えるものを重視した価値観からの転換をすることで楽になることが多いのが中の時期なのでは。

  • ●中年とうつ病(2012/6)

  • 中年は、仕事や社会において一番充実しているといわれる時期なのだが、同時にこの世代は、最も多くの悩みを抱えている時期でもある。

  • 体力の衰えを感じつつも、組織では責任のある立場に。部下と上司との
    板ばさみに心を砕き、家庭に戻ると塾通いする子供、家のローンの残債、
    しばらく続く教育費の負担、妻との教育方針の違いは平行線・・・年老いた両親もそろそろ認知症が心配になっている。介護の問題を考えておかないと・・・そして自らの老後も!

  • まだ、定年退職までは時間がある。でも無事定年まで会社にいられるか、
    子会社に片道出向で本社からは追い出されるであろう。仮に定年まで免職にならなかったとしても、かつての同僚たち、上司たちのように病気になっり、突然死を迎えることも・・・

  • 自営やフリーであったら失敗して仕事がなくなったり、病気で廃業しなけばならなくなった仲間のことが脳裏を過ぎったりする。

  • さまざまな心配の蔭で意外と知られていないことがある。体力、ホルモン等の体調の変化に伴い、それらが「心の病」を引き起こすことである。

  • 男性の更年期障害では、肩こりや性機能の低下、集中力の低下、記憶力の低下、体のだるさ、尿が出にくいなどの症状が現われてくる。

  • 更年期障害が起こるのは40代後半から60代の中年以降である。年齢的には体の機能がだいぶ落ちている時期だが、 男性の更年期は、女性の更年期ほど急激な症状ではな気付かないことが多い。30歳の頃から男性ホルモンが減少し、60歳では40歳の頃と比較すると25%も低下。

  • 中年のうつ病は、ホルモンの減少による更年期障害からくる不眠症が大きな原因と考えられている。

  • 不眠が続くようであったら、神経科、精神科、心療内科を訪ねることをお勧めする。
  • <参考>]
    http://www.sawai.co.jp/kenko-kakeibo/topics/vol13.html
  • http://t-miz.cocolog-nifty.com/diary/2006/03/post_183e.html


  • ●心に栄養を(2012/6)

  • 子供は元気です。大人に比べ、筋力、知力は低いのですが、
    溌剌と、楽しく、嬉しそうで、面白がります。
    そして何よりも、よく笑います。

  • 誰しもが子供の頃、TV、マンガ、絵本など興味あることに
    夢中になった思い出があるはずです。

  • わくわくして眠られなかったこともあったはずです。
    今思うと、何であんなことに?と不思議な感慨を覚えます。

  • さて、大人になると、特に中年になると時間が早く過ぎていることに
    気付きます。一日は24時間、それは子供の頃と同じ単位です。

  • 仕事、子育てに夢中になっているから時が経つのが早く感じるのかも
    しれません。いや、日々の同じような繰り返しがそのように感じさせる
    と思う方もいらっしゃるでしょう。

  • 一日3食、自然の恵みを頂いて身体の健康が保たれています。
    ある年齢を過ぎてからは、食物に気を付ける心配も出てきます。
    健康診断で要注意になった時や、すでに症状の表れた病気に罹ったとき
    になって気付きます。

  • そうです、身体の健康については栄養のバランスが大切。
    でも、心が弱ったときには?

  • 私たちは「心の健康」については意外と自覚していません。
    ストレス発散のために、眠る、飲酒、スポーツ、買い物、旅行などを
    解消方法として選んでいます。

  • 気晴らしとしての感情整理です。ストレスの元と向き合ってはいません。
    何がストレスとなっているのかを紙に書くこと、つまり自分の心の中を
    整理することが一番だそうです。

  • ただし、感情の整理をしても心の成長にはつながりません。
    人はいくつになっても成長するものです。

  • 最も大切なのは、子供の心を取り戻すことなのではないでしょうか?
    「心が子供のようになるのは創作活動と創作物(映画、小説、絵画、
    音楽等)に」(司馬遼太郎)親しむことのように思います。

  • 乾いた心を潤すものが創作物にはあります。
    中年になっても子供の心は残っています。
    身体だけでなく「心の栄養」を摂ることが必要。
    それが身体の健康にもつながるのではないでしょうか?


  • ●伴侶をなくした男たち(2012/6)

  • 今週の週刊新潮の特集は、妻を看取った有名人の記事。
    みのもんた、川本三郎、柿添忠生(国立がん研究センター名誉総長)
    永田和宏(歌人・河野裕子の夫、京都産業大学総合生命科学部長)等の
    話が取り上げられている。

  • 孤独死・孤立死する男たちは、伴侶に先立たれた人たちが多い。
  • 地縁がなく、コミュニケーションする人がいない、料理ができない、
    悲しみから立ち直りが遅い、など様々な原因が指摘されている。

  • 先日亡くなった映画監督、新藤兼人も女優である妻・乙羽信子を
    見送ってから17年余。享年100歳まで映画制作に専念した人もいる。
  • 各種のストレスの中で最も高いのが「伴侶の死」との研究成果がある。
    妻の死後の生活からくるストレスもあろうが、やはり死を受け入れる
    心の問題が大きい。

  • 自分の死については考えるものの、伴侶の死について男は想像していない。年齢的にも男が年上であり、平均寿命から推測しても自分の方が先に逝く、と思い込んでいる。その点、女性は結婚したときから夫が先に死ぬことを前提に物事を考え、生活しているそうである。2009年、「男おひとりさま道」上野千鶴子が発売されたときにある女性が何でこんな本が売れるのか?と不思議がっていた。

  • その頃から死別だけでなく、離婚などで独り身になる男性像が浮上した
    ように思う。そして2011年、NHK放映「無縁社会」での孤独死が取り上げられ世の男たちに孤独死・孤立死がにわかに現実を帯びてきた。

  • 最愛の人の死、その後の悲嘆、悲哀を想像すること多くの人が最も忌み嫌うことではある。死後に残る感情には、悲しみだけでなく、後悔の念が深く刻み込まれる。
  • そして、年齢を重ねるごとに悲嘆からの立ち直りは難しくなる。

  • 米国では「グリーフ(悲嘆)ケア」なる問題の研究が進んでいる。
    少しでも悲しみを和らげるのは、自らの感情を誰かに話すことだと思う。
    話せる段階になるまでが大変な苦しみなのではあるが・・・
    それまでは寄り添うことが何よりである。

  • 今後、最愛の人、ペットの死によって悲嘆の谷に落ちた人が身近に溢れていくであろう。

    病人、生活困窮者への救済は国にできても、悲しみを抱いた人々への救いの手は私たち一人ひとりにしかできないように思う。

  • 震災の被災者に対してと同様に、決して「がんばれ」「元気になれ」という言葉は掛けてはいけない。そのことを一人多くの人が理解するだけでも、悲しみを背負った人たちの心が傷つかずに済み、悲嘆からの立ち直りも早まるのではないだろうか。

  • 思いやり、想像力の問題よりも、これからの言葉遣いが常識として定着することが必要なのでは?それだけでも遺族にとっては、理解してくれる人がいる安心感にも似た安らぎを得られる。そして心情、感情を話す相手ができるように思う。

  • ●献体の意義(2012/5)

  • 私たちは一日三食、年に1千回の食事をしています。植物や動物、
  • 水産物の命を頂いているわけです。
    毎年、天皇陛下は収穫への感謝祭や祈りを捧げています。
    貨幣経済が発展する前までは人間以外の「命」を頂いているという
  • 意識が強かったと思います。「いただきます」は命を頂くことへの
  • 感謝の意味です。

  • アイヌのお祭りであるイオマンテは「熊送り」の儀式です。
  • 熊はご先祖が子孫たちに食べ物を熊という化身で現れた。
  • それを天に感謝の気持ちを込めて送るのです。
  • カムイチェプの祭りは、「神様の魚・鮭」に感謝して、その命を
  • 丁重に天に送る儀式です。鮭を祭る神社は、日本海沿岸に多数あります。

  • そもそも人間の命が燃え尽きたときに多くの動物、植物のために
  • 身を捧げる風習もあったのです。今でもチベットの鳥葬、
  • インドの水葬(裕福な階層は別)なども残っています。

  • わが国では、法律で動植物に身を捧げることは禁じられております。
  • 唯一人のために役立てられる方法は、献体です。
  • 医学の発展のため、次世代の医者を育てるために自らの
  • 身体・遺体を提供することです。
  • 献体という方法の長所は、葬儀費用(搬送、保管、焼却、頼めば
  • 合同慰霊塔に埋葬まで可能)が一切掛からないことです。

  • 例えば、一人身で葬儀保険を掛けたとしても、手続きする人が
  • いないとできません。また、保険金が葬儀に正しく使われたのか
  • どうかも保険会社では確認できません。

  • その点、献体ならば手続きした大学へ連絡する人だけがいれば済みます。
  • 関心のある方は下記にアクセスしてみてはいかがでしょうか?
    財団法人 日本篤志献体協会

    http://www.kentai.or.jp/index.html

  • ●心の庭の手入れ(2012/5)

  • この時期、街中でも様々な花が咲き、私たちの生活を彩ってくれています。
    小さな鉢植えをよく観ると、茎の周りには僅かに雑草が生えています。
    毎日お水を上げる人が、雑草を取り、育てたのでしょう。

  • きっと野に咲く花々は、雑草に養分を摂られながらも咲きほこっている
  • ことでしょう。たくましい生命力です。誰も下草を刈ったりしないのに、
  • 同じ花の仲間同士で力を合わせて群れを組んでいるようにも
  • 思ったりします。

  • 私たちの人間の心には、自分中心な心と他人を思いやる心があります。
    仏教でいう「自利利他」です。
  • 心を庭に例えると、利己的な心は雑草で、利他の心は花といえましょう。
    どうしても自分のことばかり考えてしまう性があるからなのです。
  • そのために心の庭の手入れをしないと、雑草が繁茂し、
  • 花が咲かなくなってしまうのです。

  • 困っている人を見たときに、誰かが手助けをすると考える自分と、
  • それでいいのかなとやっぱり助ける方が、と考える二人の自分がいます。
  • 良心が語りかけてくるのです。
  • 同じような光景を何度も見ているうちに、だんだん良心は失せて、
  • 語りかけなくなっていきます。

  • 1日に1回、夜寝る前にその日を振り返ってみることが必要です。
  • ど゛のような1日であったか、反省すべきことはなかったか、と考える。
  • 良心に背いたことは、なかったのか。

  • それが心の庭の手入れなのです。日々繰り返すことで花が
  • 咲いていきます。子供を見るとわかるのではと思います。
  • 花には、蜜蜂や蝶が集まってきます。庭の手入れをすることは、
  • 良い人間関係を築き、優れた人と出会うことに繋がります。

    いかがでしょうか?

  • 心のケアについてはこちらも参照下さい。
  • ●お一人様入院セット(2012/05)

  • さる友人が緊急入院した。
    受診している病院でたまたま採血検査で判明。
    本来の病気とは別のことで即時で入院となってしまった。
  • 自覚症状は大したことがなく
    本人は強制入院の感覚なのだが....

    ━━━━━━以下はその本人の体験談です。━━━━━━

  • 困ったのは、何の準備をしていないことだった。
    病院で渡された「入院のご案内」なるパンフレットをみながら
    必要な品々をチェックするものの、独り身ゆえに頼める
  • 家族がいない。

  • 持っていたのは財布の他には携帯電話のみ、病院では使用禁止
  • なんだろうけどかくれて友人たちや弟に入院したことを
  • ショートメールでなんとか連絡。

    病状に詳しい仲間たちからは、次々と安静にするように、と忠告、
    お見舞いのメールは届くのだが、男ばかりなので入院に必要
  • な物の心配までは・・・

  • 看護師に自宅へに必要な物を取りにゆきたいと言っても、"絶対安静!!
    自覚はないでしょうけれど、その身体はいつ倒れてもおかしく状態。
    私たちは許可できない”の一点張り。

  • 仕方なく、点滴の管、滴り落ちる生理食塩水を眺めながら、一番近くに住む
    友人やら自由に動いてくれそうな友人を思い浮かべた。
    還暦間近の男には、身の回りのことを頼める関係の女性などはいない。

  • 入院に必要な品々をリストアップしながら、これは出張のときに用意する
    ものだと思い付く。

  • 洗面用具等は院内の売店で揃えることはできる。
    下着、靴下、バスタオル、パジャマ等は売店には無かったんで
    見舞いに来た友人か看護師にコンビニに行ってもらうしかない。

  • 一番困ったのは、携帯電話の充電コード、メールを受け取るPC
    それと通信手段...病院にはWi-Fiの電波など飛んでない。

  • 地震の避難のために懐中電灯、乾パン、ラジオ、電池、水などのセットは
    販売されている。しかしながら、独り身の男の入院セットは
    聞いたことも見たこともない。

    確率的には入院する方が地震に遭遇するよりも高いのではないか?
    もし、道で意識不明で倒れた場合、交通事故に遭い骨折などで
  • 動けない時など独り身の者たちはどうするのだろう。

    と初めての体験を語るのだった。    以上当人の談
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    なるほど出張とは違い仕事をするわけではないが
    今では携帯とインターネット環境は生活の一部となって
    いると思わされる。通販や買い物代行にアクセスすれば
    割高だが用事は済んでしまう。友人や仕事仲間にも
    メール一本出せば一回で多数の人に通知できる。
  • 何よりも意識不明になったらICチップひとつ
    身に着けていたら住所氏名、緊急連絡先などすべて
    判るではないか...現代の迷子フダは子供ではなく
    大人にも必要かなと友人の治癒を祈りつつの番外編でした。


                      
  • ●中高年の元気が日本を救う (2012/4)

  •  団塊の世代の人と若い頃の話。
    当時の大人たち、親たちは戦争を体験し、これからの日本復興のために働いていた。
    経済的な成長も働きをさらに助長した。収入が増え、洗濯機、TVが買える
    ようになり、豊かな生活を実感できたのではないか?
  •  
    戦後生まれの者たちにもバブル崩壊までは、経済的な恩恵は得られた。
    でも、「モノの豊かさ」「心の豊かさ」のどちらを求めるかという調査では
    1980年に「心の豊かさ」が逆転。平成23年の調査では、「心の豊かさ」は
    64.6%である。

  • 今や高齢者一歩手前となった世代には、ジーンズ、プレスリー、ロック、
    フォーク、トラッド、アイビー、コカコーラ等々のアメリカ文化が眩しく
    生活に取り入られていった。

  • 文化的な背景も一つの要素ではあったが、将来に向けて漠然とながらも
    明るい希望を見出していたのは、元気で働く親たちの背中ではなかった
    のだろうか?

  • また、大人たちの笑顔に明るい将来が映ったのでは・・・
  •  身体の健康を損ない、またうつ病などの精神疾患に罹っている人、
    リストラされて働き口のない人、それぞれが事情を抱えていることは
    わかっている。

  • それでも「心の中でありがとう」と呟き続け、「笑顔」を作って
    日々を過ごすだけでも健康になるし、すれ違う人たちとの何かが
    生まれるはずである。

  • 些細なことかもしれない。中高年たちが実践すればきっと若い人たちに
    微かな光を射せるであろう。

  • ●突然死11万人/年 (2012/3)

  • 年間120万人が亡くなっているが、くも膜下出血、心筋梗塞
    大動脈破裂などの突然死を迎える人が1割弱を占めている。
  • この11万人のうち6万3千人は40代から60代の中高年という。
    この数字は、年間自殺者の倍である。
  • 交通事故に対し、これらの突然死の要因は防ぐことが可能である。
    絶対に何らかの前兆があるはずなのだ。
  • しかし、まだ現役で働いている者たちにとっては、大したこととは
    思わない。ましてや些細な前兆がある日、突然死を招くなどとは
    考えにくい。
  • 高齢者の間で流行っている「ポックリ寺」巡り。
    70歳をはるかに超えれば、長患いせずに、認知症の症状が現れる
    前に苦しまずに死にたいという心情はわかる。
  • 死んでしまった本人にこの世に未練はあるか、と聞いても答えない。
    でも葬儀に参列した者たちからは、そういえば・・・という前兆が
    会話に出る。そして、あの時に無理やり医者に診せればよかった。
  • 突然に親、友人を失った者たちの悲嘆、慟哭、悔恨はやりきれない。
    悲しみは少しは癒されても、悔恨は親しかった者たちの心に根強く
    残り続ける。
  • 脳疾患、心疾患共に血行不良による手足のしびれ、運動機能の変化が
    ある。脳溢血で倒れる人は、両手を前に伸ばしたときにどちらかの
    手が下がるそうである。
  • また、両手両足の血圧を測るだけでも異常を察知することはできる。
  • 40歳を過ぎたら「身体の声」を聞こう。
    1日1分でよいから、習慣にすることで、命だけでなく家族、職を
    喪失することを考えてほしい。
  • そして、友人や仲間の人たちの異変に対しては、正直に伝えよう。
    自身が後悔しないためにも!
  • 門前町では、「健康」を「身体」「脳」「心」に分けて今後、コンテンツを
    作りますので、是非参考にして下さい。

  • ●今年のテーマは「共生」 2012/01

  • みなさん、遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
    昨年は、近年にない天災に加え、後世に多大な影響を残してしまった
    人災とが重なった悲運の年でした。
  • さて、「共生」という言葉、「自然との共生」などで馴染み深いです。
    でも、人との共生という使われ方はあまりされていないように思います。
    相互扶助、自立自助、などの言葉が同じような意味を持っているせいか、
    耳慣れないためなのでしょうか?
  • しかし、人という字を考えると支え合っていることを意味していますね。
    これまでは、当然だと意識されなかったように思います。
  • 人は、何のために生きているのか、という根本に戻って考え、
    新たな道を模索しなければいけない。
    その岐路が昨年の災害だったと考えています。
  • 少子高齢社会という社会的課題の陰で、求人募集に応募しても年齢で
    はねられ、年金受給までには何年もある中年層。
    自殺者14年連続3万人を超えるなかで、40~69歳までの自殺者割合は
    52.9%(平成20年)と半数を超え、この傾向は続いています。
  • 「門前町」の考える「共生」とは、中高年が「人は何のために生かされているのか」と
    いう原点に立ち返って、お互いが「あなたのお陰で」と感謝し、感謝される
    コミュニティづくりです。
  • 底辺となるのは、「悩み相談」です。
    多くの悩みは、中高年がそれぞれ体験した内容です。
  • 人には体験に支配される人と、体験を支配する人がおります。
    誰かに語り掛けることで、自分の体験を整理し、自分も助かり、
    相手も助かる援助関係が求められています。
  • お互いが「あなたのお蔭で」と感謝し、感謝される関係。
    それが「共生」の根本的な在り方なのだと考えております。
  • 相談者が次には相談を受ける側になる。そして互いが門前町の
    町民として笑顔で支え合う。
    それが私たちが目指す「共生」です。
  • ●認知症の判断基準 2011/12

  • 今月で2011年も終わります。
  • デイサービスや施設でのレクリェーションのために、
  • よく『今日は何の日』などのサイトを利用されている方も 多いようです。
  • 「今日は何の日」を毎日伝えているのかといいますと
  • 見当識に訴えかけるためです。

  • 時間・季節・場所などを認識する力を見当識と言います。
  • 認知症が最もわかる症状のひとつが見当識障害なのです。
  • 今日は何月何日かわからない、今居る場所がわからないなどの
  • 症状が出ます。 よく、中高年になって物忘れが自覚されるようになると
  • ボケてきたなどと口に出します。
  • ここでいう、物忘れが激しくなったことと認知症は異なります。

  • 中高年になればそれだけ多くのことを記憶しているのですから
  • 思い出せないことは異常なことではないのです。

  • 認知症というのは、直近のことが覚えられない、
  • 思い出せなく 生活に支障のある症状なのです。

  • <認知症の判断基準>
  • ・同じことを何度も言ったり、聞いたりする
  • ・物の名前が出てこないことへの自覚がない
  • ・置き忘れやしまい忘れが目立つ
  • ・時間、日付や、場所の感覚が不確かになった
  • ・病院からもらった薬の管理ができなくなった
  • ・以前はあった関心や興味が失われた
  • ・水道の蛇口やガス栓の締め忘れが目立つ
  • ・財布を盗まれたと言って騒ぐなどの作り話をする
  • ・複雑なテレビドラマの内容が理解できない
  • ・計算の間違いが多くなった
  • ・ささいなことで怒りっぽくなった


                      
  • ●心の持ち方とガン

  • 末期ガンから生還した100人が体験を語る会に参加した医師の見解では、
    ガンの原因は、ライフスタイル(働きすぎ)が2割、食事が3割、
    そして心の持ち方が5割とのこと。
  • 心の持ち方というのは、「ストレス」と「生きがい」の問題なのです。
  • 医学の進歩によって、ガンの発生メカニズムは解明されており、
    人は生まれたときから前ガン状態であることがわかってきました。
  • 常にガン細胞は生まれて、それを壊滅させるナチュラル
    キラー細胞(以下、NK細胞)が働くことによって生命は
    維持されているのです。
  • つまり、NK細胞が活性化している限り、ガンに侵されて
    いても完治することが起きるのです。
  • 末期ガンというのは、余命宣告され、全身にガン細胞が
    転移した状態です。通常は、3ヵ月、長くても半年と
    宣告されます。
  • 末期ガンからの生還については、ガンの専門医ならば、
    皆、経験しています。あの薬が身体に合ったなどと意見を
    述べますが、現実に不思議な生還例は知っています。
  • NK細胞を活性化するのが、「笑うこと」、「泣くこと」、
    「人に話を聞いてもらうこと」「化粧」 「睡眠」「歌うこと」
    「身体を冷やさないこと」「音楽」そして「祈り」。
  • 「笑う」ということは、体温が上昇し、免疫力が向上する。
    笑うことで副交感神経が優位に働きリラックスする。
  • 老化の防止という点でも、感情の表現は大切です。
    老人、特に認知症になった人たちを観察するとわかるように
    表情が失われています。人は感情から老化するのです。
  • 若々しいといわれる人たちは、おしゃれを楽しむ、表情が豊か、
    よく話をするし、聞く、新しいことに興味を示す、他人の面倒・
    世話をし、行動的などの特徴が見られます。
  • 老人ホームのボランティア活動で職員の人たちが驚くのは、
    化粧を施した婦人に笑顔が生まれること、ペットを連れた
    ボランティアで犬や猫に触れた老人たちが今まで見たことの
    ない良い表情になることだそうです。
  • 心の持ち方ということは、聖賢の方々が残した言葉に集約されています。
    「一日一生」、「少欲知足」、「知足安分」・・・
  • 昨日の自分より今日が幸せと思える生き方、足りないものを捜すの
    ではなく今ある環境を噛みしめて暮らすこと、
    他人と比べるのではなく自分の心を大切にする、
    そのような心の持ち方が身体を健康を左右するようです。

  • ●持ち寄り社会

  • 65歳以上が23%、人口の1/3が単身となり、
    これらの比率は、ざらに高まるのが日本です。
  • 少子高齢社会などといっている余裕はありません。
    どんどん社会的弱者、先天性疾患、生活習慣病、
    精神疾患等を原因とする、ともすれば社会から
    見放される弱者が増えていきます。
  • 働ける者と働くことの出来ぬ者、収入のある者と
    収入を得られない者、僅かな収入しか得られない
    者とに分かれ、その違いが明確になっています。
  • その問題を浮き彫りにしたのが、今回の震災。
    被災者救済のために・・・義援金、避難場所、仮設住宅と
    手を差し伸べても、自殺者は増え、希望を見出せない人たちが、
    中高年層が孤独死の迎えを待っています。
  • 実際に被災地域だけでなく、全国的に震災後の3ヵ月の
    自殺は増えています。
  • 仕事、給与、食事、家賃・光熱費で暮らしが成立していると
    図式化され、これからも続くと信じている人々がいます。
  • その反面、これらの構図に入れずに、挫折感、閉塞感、
    自己嫌悪に陥っている若者たち、ネットカフェ難民となり、
    派遣社員という現代の日雇いで働き、
    将来という白紙に何も描けない若者たち・・・
  • 35歳、えっ~50歳過ぎているの・・というだけで証明写真、
    履歴書、切手代を盗られている中高年。
    年金生活を明るい希望のライフスタイルと描いている中高年。
  • 生活の糧を得るためには、智慧と汗とお金が必要。
    一人ですべてを備えている人など、天然記念物、希少生物であり、
    レッド・データリスト化できるのではと思います。
  • 若者も中高年も組織への正規雇用を望むから苦しむのです。
    若ければ汗をかけばよいのです。
    中高年は智慧、人脈、経験、
    高齢者で財産のある方は、彼らに投資してみましょう。
  • 銀行よりも高利回りになるかもしれません。
    何といっても、彼を支援することで役立つことはたくさんあります。
  • 身近な買い物を手伝ってもらったり、電球の交換などは容易い。
    パソコンの操作、会話を通じての癒し、最新情報の入手、
    配当金では得られないプラスアルファ、付加価値を得られます。
    株主は、法人にとっては立場か強いですから・・・
  • 弱者、不足者といった方が適切かもしれません。
    それらが互いに自分の持つ財産(体力、会話力、智慧、経験、資産等)
    を持ち寄ればよいのではないでしょうか?
  • 生きていくのに必要な最小限度だけを考えれば、
    あとは互いの煩悩を戒めれば、会社は継続できます。
  • 社員は出家者、株主は浄財提供者、寄進者と
    なればよいと思うのですが・・・
  • 中年クライシス(危機)

  • この世代は、最も悩みが多く、体力、ホルモン等の体調の変化に伴い、
    それらが「心の病」を引き起こす。
  • 「中年というのは、最も意気盛んで安定期に見えて、実は、職場、
    家族など の多様な問題に直面して、心の危機をはらんだ時期である」
    (「中年クライシス」河合隼雄朝日文芸文庫)
  • ここに書かれているように、複雑な要因を抱えている。
  •  意欲の低下や男性としての性機能の減少などを意識するに随い、
    若い頃の自分と比較し、それらが心理的な圧迫、不安などを呼び起こす。
  •  自殺者で最も多い世代であり、痴漢などの性犯罪、セクハラなどの
    問題もこの世代になって増えてくる。
  •  これまで第一線で活躍した人ほど自分の能力の低下していることを
    認めたくない。そのことを受け入れることができないのだ。
  •  そして抑圧され、老後への心づもりが出来ないことからアル中、薬物
    依存、ギャンブル依存、不倫などに逃避する人も出てくる。
  •  うつ病などもこの時期になると発症する。
    家族、仕事、経済的な問題、異性関係、社会との関わり、病気などが
    心に重く圧し掛かってくることから、抑うつ状態になるのだ。

  • ●創造性の開花
  •  その一方で、エレンベルガーという精神科医は、フロイトやユングなどの
    深層心理学者の人生を調べ、「創造の病(creative illness)」という考えを
    提唱した。
  • 偉大な創造的な仕事をした人は、中年において重い病的体験をし、それを克服
    した後に創造活動が展開されるという。
  • 「体の病、事故、不遇な状況、すべての広義の病を超えて創造が生まれる」
    と河合先生は中高年からの能力が生まれることを分析している。

  • ●紫式部は、抑うつ症
  • 「The Geisha」という本を出版したライザ・ダルビーさんという人は、
    「源氏物語」に惚れこんで、祇園の芸者になった人である。
  • 彼女は『源氏物語』は「紫式部の物語」であると。
    つまり、自分のことを書こうとして登場人物を自分の分身にした。
  • 彼女は、『紫式部日記』を読んだらどう考えても紫式部は抑うつだった
    と分析しており、そして抑うつ症である紫式部がどうしてあんな
    華やかな物語を書いたのか疑問に思って研究を始めた。

  • ●人間はそれぞれみんな物語を生きている
  •  創造性という観点からは、心の病を克服、回復した後から、
    すばらしい作品が生まれているそうである。
  •  「夜の海の航海(night sea journey)」という言葉がある。
    心が暗闇の中にあって、出口の光が見えず長らく低迷する状態。
    しかし、航海がそうであるように、いつかは闇の世界から脱出する時が。

  • 「朝の来ない夜はない」
  •  門前町では悩みの相談に対して、その苦悩の状況を乗り越えると、
    新たな人生が待っていることを伝えたいと考えています。
  • ●東北地方太平洋沖地震... 2011/04

  •  今回の大震災で被災された方々、亡くなられた方々に
  • お悼み申し上げす。
  • また、原発事故を受けて避難されている方、現地で復旧活動、
  • 遺体捜索活動に従事されている自衛隊、地元の方々のご健康を
  • 切にお祈り申し上げます。

  • 避難生活をされている方、ご不自由な生活かと思います。
  • そのお気持ちをボランティアの人などにお話し下さい。
  • そして少しでも心の蓋を取って下さい。  
  • 昔、電気のない時代は、夜道を歩く時には提灯で足元を照らしました。
  • 一灯の明るさは僅かなものでしかないけれど 万灯になれば国をも明るく、
  • 照らし出します。  一人ひとりが、正しい行いをし、それらが多くなれば 国も栄える。 今日本は、新たな時代に、復興に向けて歩み出しています。  被災された皆さんの悲しみ、絶望を日本国中、いや世界中でも少しでも 分かち合い、犠牲を元に支援の輪が広がりつつあります。  

    今まさに日本は「一灯照隅、万灯照国」になりつつあります。 海外のメディアの報道を読むと、略奪がなく、礼節を守り、 お互いに列をなして並び、助け合っている日本人に驚愕し、 賞賛する記事ばかりです。  そして、この国は再び大きな復活を遂げるであろう。 これほど団結し合い、礼儀正しく困難に耐える国はない。 とまで報道されています。

    中国では、日本の不幸を喜ぶ書き込みがありましたが、 その書き込みを批判する声があっという間に増えてしまった。 中国人としての誇りはないのか? 恥ずかしいことを書くな、それでも中国人か? などと若い人たちの声が集まったそうです。  震災当日、都内の帰宅難民を写真、階段に座り込む人たちが 片側だけに集まり、人が通れるように通路を空けている。 日本人ならば当たり前と思うことに海外の人たちは驚いている。 その記事を読んだ私は、もっと驚いたけれど・・・  時間は掛かりますが、必ず日本は復興をします。 被災者の方々の犠牲を無駄にはしないように・・・

  • 門前町では、無料・傾聴ボランティアを始めています。
  • 携帯:090-9971-8390  今野まで
  • 一般: 03-6279-3950

  • ●新たな「縁」を求めよう。.... 2011/02

  • 昨年1月にNHKスペシャルで放映された「無縁社会」が反響を呼び、
    中高年を対象に不安を抱く人が増えています。
  • 13年連続で3万人を超える自殺者、「孤独死」「行旅死亡人」などの
    言葉と共にすっかり少子高齢化社会の今後を象徴する姿としての
    イメージが広がっている。
  • 確かに昭和30年代には全日制高校への進学率は30%を超える
    程度で、中学卒業と共に集団就職で上京した人たちが多かった。
  • 工業化社会の訪れと共に都市部へ多くの若者たちが流入した。
    しかし、就職しても多くは3年と経たずに転職していった。
  • 1964年の東京オリンピックを機に道路、高速道路の整備に
    どれほどの若者たちが従事したであろうか。
  • しかし、大型の開発が終わり、それでも土木建設業に就いた
    者たちは、そのまま仕事を続けた。
  • 一方、ホワイトカラーと当時呼ばれたサラリーマンになった者達は、
    高度経済成長の波の中で東京郊外に住居を構え、満員電車に
    揺られて通勤。
  • しかし、無事定年まで勤めることのできた人はどのくらい
    いたであろうか。
    産業変遷の波の中で、多くは倒産したり、吸収され、転職を
    余儀なくされた人、斜陽産業となり解雇された者たちが多数、出現した。
  • それでも年齢的に若かったこと、バブル崩壊までは景気が
    就業機会を与えられた。
  • バブルから20年経ち、景気の後退、産業構造の変化、年齢という壁
    が戦中、戦後のベビーブーマーたちの就職を阻む壁となっていった。
  • 「根性」「成せば成る」「男は仕事」「モーレツ社員」などで象徴される
    労働者として滅私奉公で働いた結果、家族と別れたりして、
    単身世帯となり、加齢からくる病に犯され、低所得ゆえに病院にも
    掛かれずに一人部屋で死んでいく。
  •    ある者たちは、うつ病などの精神障害から自殺する。
  • 2030年には、「夫婦と子供」世帯は2割となり、「単身世帯」が
    4割を占めるとの予測が発表された。
  • 人との会話がなく、付き合いがなくなることは、そのことだけでも
    体の変調を引き起こす。
    人はお互い支えあって生きている存在。
  • これからは「新たな縁」を創ることで、お互いを支えあうことが必要な
    時代である。
  • 「縁」というと偶然な出会いのように思われるかもしれないが、
    日常での挨拶から始まる「縁」、趣味を通じての「縁」、ネットでの「縁」、
    ボランティア活動を始めたことからでの「縁」などたくさんある。
  • 健康で、元気に過ごしたいと考えるならば、「縁」を求めて
    行動しましょう。
  • そして物事に固執しない柔軟な頭脳を作りましょう。
  •        それが痴呆症の予防にもなるのですから。
  • ●お別れの会...2010/10

  • 猛暑の影響か、秋になり亡くなられた人が多く感じられる。著名人の死亡記事には、葬儀は親族だけで済ませ、お別れの会を○○に行いますと告知されている。お別れの会は、本田宗一郎氏(ホンダ自動車創業者)のときから始まったといわれている。
  • 葬儀は、故人との最後の別れの儀式であり、故人と交流のあった人たちの集いでもある。核家族化した現代においては、親族同士の顔見世の場ともなってきている。
  • お別れの会が普及した背景としては、宗教と葬儀費用の問題がある。著名な人ほど参列者も多くなり、遺族の宗旨での宗教儀礼を好ましく思わない人もいるかもしれない。また、ホテルなどで行うお別れの会だけであるとたくさんの僧侶を呼ぶ必要がない。時間の幅を持たせて、込み合わないように調整でき、献花だけで済ませることが可能である。つまり、葬儀式と告別式から成り立つ社葬よりも時間と費用の節減となる。
  • ●8割は葬儀費用に不満...2009/05

  • わが国で年間に死亡する人の数は、2003年に100万人を超え、今後、2%ずつ増えると予測されている。しかし、葬儀にかける費用は下がり続けている。
  • 葬儀費用の平均は、地域ごと慣習が異なり北海道186.万円から中部(静岡、愛知、長野岐阜、山梨)378.万円と開きがある。ちなみに東京、埼玉、神奈川は313.万円であった。それだけの費用が2日間で東京都生活文化局が発表した
  • 「葬儀にかかわる費用等調査報告書(2002年)」によると、葬儀経験者のなかで「満足している」と回答したのは20.6%であった。 葬儀費用と受けるサービス内容とに満足している割合が低いのは想定されよう。(財団法人日本消費者協会調べ)
  • ●生前の決め事...2008/05

  • 以前、報道された亡き妻の遺体を屋上の冷蔵庫に放置した事件やら葬儀費用がなく自宅の庭に埋め逮捕された事件等、葬儀の知識、費用がなく、事件となるケースが増えている。葬儀についても生前から決めておくことが必要である。葬儀に関しては家族葬で行うなどの決め事だけで、死亡の連絡先リストや宗派などを事前に書いて残すことが遺族への思いやりであろう。
  • 門前町では、このような事件、葬儀費用に関する相談を受け付けています。